2012 Fiscal Year Research-status Report
心筋梗塞後の心筋リモデリングにおける炎症性サイトカインIL17の役割
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24790788
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
南 知子 久留米大学, 医学部, 助教 (30597430)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 分子心臓病態学 / サイトカイン / IL17 |
Research Abstract |
マウスの冠動脈を結紮し心筋梗塞を作成した。心臓におけるIL17の発現をreal-time PCRで測定したところ、梗塞心筋にIL17の発現があることを確認した。 次にC57BL6バックグランドの野生型マウス(WT)とIL17-KOマウス(全身性ノックアウト)を使用し、心筋梗塞モデルを作成後、表現型の解析、生理学的評価、組織学的評価、分子生物学的評価を行った(1週間後、4週間後)。 ①梗塞後心筋リモデリングの表現型の解析でIL17-KOマウスは野生型マウス(WT)と比較し、死亡率の著明な減少を認めた。②心エコー検査でIL-17KOマウスはWTマウスに比べ、左室収縮能(%FS)低下がみられた。また、梗塞後心拡大(LVDd)が有意に抑制されていた。③左室重量(mg)/体重(g)の評価ではIL-17KOマウスはWTマウスに比べ、低値であった。このことから、IL-17KOマウスはWTマウスと比較し、心筋梗塞後のリモデリングが抑制されていることが示唆された。 梗塞後心筋リモデリングの病態に炎症は増悪因子として関与しており、IL-17KOマウスとWTマウスでの炎症性サイトカイン活性化に差がないか評価中である。real-time PCRアレイでの炎症性サイトカイン、ケモカインの評価を行い、引き続き組織での炎症細胞浸潤評価の為、好中球(Ly6G抗体)とマクロファージ(IBA1抗体)の浸潤を免疫染色で評価中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウスに心筋梗塞を作成後、心臓におけるIL17の発現をreal-time PCRで測定したところ、梗塞心筋にIL17の発現があることを確認した。 C57BL6バックグランドの野生型マウス(WT)とIL17-KOマウス(全身性ノックアウト)を使用し、心筋梗塞モデルを作成後、表現型の解析、生理学的評価、組織学的評価、分子生物学的評価を行った。 梗塞後心筋リモデリングの表現型の解析でIL17-KOマウスは野生型マウス(WT)と比較し、死亡率の著明な減少を認めた。心エコー検査、左室重量(mg)/体重(g)の評価ではIL-17KOマウスはWTマウスに比べ、心筋梗塞後のリモデリングが抑制されていることが示唆された。 梗塞後心筋リモデリングの病態に炎症は増悪因子として関与しており、IL-17KOマウスとWTマウスでの炎症性サイトカイン活性化に差がないか評価中である。real-time PCRアレイでの炎症性サイトカイン、ケモカインの評価を行い、引き続き組織での炎症細胞浸潤評価の為、好中球(Ly6G抗体)とマクロファージ(IBA1抗体)の浸潤を免疫染色で評価中である。これらの実験により、IL-17をノックアウトする事で、梗塞後心筋リモデリングの病態に炎症がどの様に関与していくかを明らかにしていく。 概ね予定通りに進行しているが、梗塞後心筋リモデリング抑制とIL-17との関連を更に評価していく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
心筋梗塞後リモデリング抑制の機序を解明する為に、好中球(Ly-6G)やマクロファージ(IBA1)の浸潤を組織免疫染色で評価し、IL-17関連サイトカインや細胞外マトリックス分解酵素、コラーゲン等遺伝子発現をreal-time PCRで評価する。 IL17の中和抗体を急性心筋梗塞モデルに投与し、梗塞後心筋リモデリングの改善効果を明らかにする。 マウスに抗IL17モノクロナール抗体(rat IgG, clone# 50104)を投与し、梗塞後心筋リモデリングの改善効果を心エコーと組織学的評価で明らかにする。対照群にはコントロールrat IgGを投与する。 これまでの報告では、炎症は梗塞後心筋リモデリングを促進し、炎症抑制は心筋リモデリングを改善すると報告されている。したがって、強力な炎症性サイトカインであるIL17ノックアウトマウスでは心筋リモデリングが軽減すると予想される。IL17は好中球の機能にも深く関与するため、梗塞後早期の心筋リモデリングの病態も改善する可能性があると予想される。 IL-17を阻害することで、好中球の機能抑制、ケモカイン・炎症性サイトカインの発現抑制、MMPの発現抑制など、梗塞後心筋リモデリングに関わる複数の因子を抑制できるため、効率よく梗塞後心筋リモデリングを抑制できると考えられ、IL17を梗塞後心筋リモデリングや心不全の新たな治療標的として確立することができる可能性がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
炎症細胞の組織免疫染色、PCR Arrayを行い、WT IL17-KOマウスにおける梗塞後心筋リモデリング抑制の機序の解析を行う。具体的に以下の項目を計画している。 ①組織炎症細胞浸潤の評価:組織での炎症細胞浸潤評価の為、好中球(Ly6G抗体)とマクロファージ(IBA1抗体)の浸潤を免疫染色で評価する。 ②遺伝子発現の評価:梗塞後、3日、1週間、4週間の心臓を回収し、IL-17関連サイトカイン(IL17, IL23、IL6、TGFβ)、細胞外マトリックス分解酵素(MMP-2, MMP-9)、コラーゲンI、IIIの発現をreal-time PCRで評価し、発現経過を明らかにする。 ③マイクロアレイ解析:梗塞後1週間目の心臓組織を回収する(WT+sham, WT+MI, KO+sham, KO+MI, 各n=5)。Agilent社のwhole mouse genome oligo DNA microarrayを用いて網羅的に遺伝子発現を測定し、IL17-KOとWTマウスで比較評価し、IL17-KOマウスにおいて梗塞後心筋リモデリングが抑制される機序を明らかにする。 ④IL17の中和抗体投与実験:IL17の中和抗体を急性心筋梗塞モデルに投与し、梗塞後心筋リモデリングの改善効果を明らかにする。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Screening for Fabry disease in patients with left ventricular hypertrophy2013
Author(s)
Mawatari K, Yasukawa H, Oba T, Nagata T, Togawa T, Tsukimura T, Kyogoku S, Ohshima H, Minami T, Sakubaba H, Imaizumi T
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Journal Title
Int J Cardiol
Volume: 167(3)
Pages: 1059-61
Peer Reviewed
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[Journal Article] Cardiac-Specific Deletion of SOCS-3 Prevents Development of Left Ventricular Remodeling After Acute Myocardial Infarction2012
Author(s)
Oba T, Yasukawa H, Hoshijima M, Sasaki KI, Futamata N, Fukui D, Mawatari K, Nagata T, Kyogoku, S, Ohshima H, Minami T, Nakamura K, Kang D, Yajima T, Knowlton KU, Imaizumi T
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Journal Title
J Am Coll Cardiol
Volume: 59
Pages: 838-852
Peer Reviewed
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[Presentation] Cardiac-Specific Deletion of Suppressor of Cytokine Signaling-3 Prevents Doxorubicin-Induced Cardiomyopathy in Mice2012
Author(s)
Kyogoku S, Yasukawa H, Nagata T, Oba T, Ohshima H, Minami T, Yajima T, Hoshijima M, Aoki H, Knowlton KU, Imaizumi T
Organizer
The American Heart Association, The 85th Scientific Sessions
Place of Presentation
Los Angels, USA
Year and Date
20121103-20121107
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