2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24790789
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
今泉 聡 福岡大学, 医学部, 助教 (60609478)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 高比重リポ蛋白(HDL) / HDL機能解析 |
Research Abstract |
平成24年度では、人から採取したHDLの機能を、コレステロール引き抜き能の測定、キャピラリー等速度電気泳動法、サイトカイン分泌抑制能の測定および2',7'-dichlorofluorescin-diacetate (DCFH-DA)と dihydrorhodamine 123 (DHR)を使用した2種類の抗酸化能測定法で測定した。また、動脈硬化性疾患の患者・危険因子重積患者の血液生化学データおよび患者背景とHDL機能測定結果との関連を解析し、HDL機能に関与する因子、有用なHDL機能の測定法の検討を行った。その結果、以下の知見を得ることができた。①HDLのコレステロール引き抜き能はHbA1cやLDLコレステロールの値と逆相関し、糖尿病の患者で健常者と比較し有意に低下している。②DHRで測定したHDLの抗酸化能は血中のMCP-1やPentraxin3などの炎症マーカーと負の相関を示す。③血圧が高いほどHDLの抗酸化能は低下している。④高齢、喫煙者、脂質異常症を有する患者ではHDLの抗酸化能が低下している。⑤キャピラリー等速度電気泳動法で測定したHDL分画のうち、fast migrating HDL分画はHDLのコレステロール引き抜き能と負の相関を示し、intermediate migrating HDL分画は正の相関を示す。以上のことより、HDLの抗酸化能の測定にはDHRを使用した測定法が適しており、また、キャピラリー等速度電気泳動法により少量のサンプルで簡便にHDLの機能解析ができる可能性が示唆された。これらの結果は、キャピラリー等速度電気泳動法などによるHDL機能解析が、患者の予後や主要心血管イベント(MACE)などに対する予測因子となり得ることを支持する結果であり、今後の臨床研究へと繋がっていくものと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的であったHDL 機能測定法の確立及びHDL機能と動脈硬化性疾患との関連性を明らかにすることは、ある程度実現できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、冠動脈疾患を持つ患者のHDL機能を対照群と比較し、HDL機能が新たな動脈硬化性疾患のサロゲートマーカーや治療ターゲットとなり得るかを検討する。同時に、HDL機能の動脈硬化性疾患患者に対する影響を調べる縦断的研究を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究は、最小限のサンプル測定で結果を出すことができたため、その分繰越金が発生した。繰越金と平成25年度分として請求した研究費で、キャピラリー等速度電気泳動装置、超遠心機、リポ蛋白の自動分析装置、培養細胞などによる臨床サンプルのHDL分離・解析に必要な試薬などの購入を行う。
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Research Products
(7 results)