2013 Fiscal Year Research-status Report
細胞接着分子CADM1を分子標的とする小細胞肺癌の治療法の開発
Project/Area Number |
24790802
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
菊池 慎二 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (80588971)
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Keywords | 小細胞肺癌 / CADM1 / スプライシングバリアント / 分子標的治療 |
Research Abstract |
免疫グロブリン・スーパーファミリー細胞接着分子CADM1は非小細胞肺癌(NSCLC)を含む様々な上皮系の癌において腫瘍抑制に関与する.我々は小細胞肺癌(SCLC)におけるCADM1の役割について研究した.まず,real-time RT-PCR法及びWestern blot法によりCADM1がSCLC細胞株では高頻度に過剰発現することを見出した.また,SCLCで発現するCADM1は正常肺や正常脳では認めない特異的なスプライシングを受けていることを見出した.このスプライシングバリアントは接着非依存性増殖に関与し,外科切除されたSCLC組織検体で確認され,マウス正常組織では精巣のみに発現していた.機能解析では,CADM1バリアントを強制発現させたSCLC細胞では細胞凝集が有意に促進され,対照的にsiRNAによりCADM1発現を抑制したSCLC細胞では球状細胞集塊の形成が抑制された.さらにCADM1バリアントを強制発現させたSCLC細胞ではマウスでの腫瘍形成能が亢進することを見出し,CADM1がSCLCの悪性増殖や転移能と相関している可能性が示唆された. SCLCにおけるCADM1の選択的スプライシングバリアントは,診断マーカーとしてのみならず,治療の分子標的となる可能性が示唆された. 以上の研究成果には科研費交付以前の研究成果が含まれる.今年度は,この研究成果を「15th World Conference on Lung Cancer(Sydney, Australia)」において発表した. 今年度はさらに,SCLCにおけるCADM1発現の意義を明らかにするために,臨床検体を用いた免疫組織化学染色を行った.まず,CADM1の最適な染色条件を決定した.さらに利用可能なSCLCの手術検体を約50個と,対象として肺腺癌と正常肺を24例集めたtissue microarrayを確保した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
科研費交付以前から継続している本研究の成果を,今年度は「15th World Conference on Lung Cancer(Sydney, Australia)」において発表する事が出来た. また,次の課題として,SCLCにおけるCADM1発現の臨床病理学的意義を明らかにするために,臨床手術検体を用いたCADM1の免疫組織化学染色を行っている.SCLCにおけるCADM1の免疫組織化学染色は今までに報告がなく,染色条件の詳細な検討が必要であったが,CADM1の最適な染色条件を決定する事が出来た.
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Strategy for Future Research Activity |
SCLCにおけるCADM1発現の臨床病理学的意義を明らかにするためには,多数の臨床検体を用いて、CADM1及びその下流分子の免疫組織化学染色を行う必要がある.課題として,SCLCは手術が行われることが稀であり臨床検体の数に限りがあることが挙げられる.従って,数少ない手術検体で染色条件を十分に検討し,気管支鏡検体などの微小検体を有効に活用する必要がある.また,CADM1及びその下流分子候補の免疫組織化学染色の報告は少ないため,染色条件の詳細な検討が必要である.現在,利用可能なSCLCの手術検体を約50個確保した.また,対象として肺腺癌と正常肺を24例,その他の腫瘍と正常肺を24例集めたtissue microarrayを確保した.さらに,CADM1とその下流分子候補の最適な染色条件を決定した.ヒトSCLC組織の解析において、病理切片の作成は筑波大学附属病院病理部の協力を得て進めている。また、免疫組織化学染色はつくばヒト組織診断センターを利用できる。 次にSCLC細胞の転移抑制効果をマウスモデルで検証するために、NCI-H69 細胞の尾静脈-肺への転移形成を安定に行えるようにする。そして、CADM1 機能阻害活性をもつヒト化抗体,又は,CADM1分子経路の機能阻害剤を用いて、ヒト SCLC 細胞のヌードマウス転移モデルにおける転移抑制効果を判定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
各種抗体,プラスチック器具,一般試薬などの消耗品の多くはすでに購入済みのものを使用したため,今年度に購入する必要はなかった.今年度購入しなかった分は次年度の研究に使用したいと考えている. SCLCにおけるCADM1及びその下流分子の免疫組織化学染色のために,抗体及び消耗品を購入する.免疫組織化学染色はつくばヒト組織診断センターを利用する。CADM1下流分子経路の解析には,細胞培養関連試薬,PCR関連試薬,RNAi関連試薬,各種抗体,プラスチック器具,一般試薬などを必要とする.一方,マウスを用いた転移抑制モデルの解析には,マウス購入費,マウス飼育費を必要とする.さらに,研究成果の社会への発表の目的で,論文投稿費,英語論文校閲費,成果発表のための国内,外国旅費を必要とする.
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Research Products
(1 results)