2014 Fiscal Year Research-status Report
細胞接着分子CADM1を分子標的とする小細胞肺癌の治療法の開発
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24790802
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
菊池 慎二 筑波大学, 医学医療系, 講師 (80588971)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 小細胞肺癌 / CADM1 / スプライシングバリアント / 分子標的治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫グロブリン・スーパーファミリー細胞接着分子CADM1は非小細胞肺癌(NSCLC)を含む様々な上皮系の癌において腫瘍抑制に関与する.我々は小細胞肺癌(SCLC)におけるCADM1の役割について研究した.まず,real-time RT-PCR法及びWestern blot法によりCADM1がSCLC細胞株では高頻度に過剰発現することを見出した.また,SCLCで発現するCADM1は正常肺や正常脳では認めない特異的なスプライシングを受けており,マウス正常組織では精巣のみに発現していた.機能解析では,siRNAによりCADM1発現を抑制したSCLC細胞では球状細胞集塊の形成が抑制された.さらにCADM1バリアントを強制発現させたSCLC細胞ではマウスでの腫瘍形成能が亢進することを見出し,CADM1がSCLCの悪性増殖や転移能と強く相関している可能性が示唆された. 今年度はさらに,SCLCにおけるCADM1発現の臨床病理学的意義を明らかにすることを目的とした.まず,CADM1の免疫組織化学染色のために,適切な抗体を選択し,最適な染色条件を決定した.次にこの条件を用いて,外科切除されたSCLC腫瘍34例とNSCLC腫瘍25例の免疫組織化学染色を行った.SCLCは34例中24(71%)が強陽性,7(21%)が弱陽性,3(9%)が陰性,NSCLCは25例中2(8%)が強陽性,10(40%)が弱陽性,13(52%)が陰性であり,組織型によって明らかな染色性の違いを認めた.興味深いことに,NSCLCでは,CADM1の発現欠如は重喫煙者(smoking index800以上)に多かった.また,SCLCでは,CADM1の高発現を示す腫瘍は患者の予後不良と有意な相関を示した.SCLCにおけるCADM1の高発現は外科切除後の補助療法の決定や経過観察期間の短縮に影響すると考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
科研費交付以前から継続している本研究の成果を,今年度は「第55回日本肺癌学会学術集会(京都)」において発表する事が出来た. また,次の課題として,SCLCにおけるCADM1発現の臨床病理学的意義を明らかにするために,臨床手術検体を用いてCADM1の免疫組織化学染色を行った.SCLCにおけるCADM1の免疫組織化学染色は今までに報告がなく,染色条件の詳細な検討が必要であったが,CADM1の最適な染色条件を決定する事が出来た.SCLCとNSCLCでの染色性の違い,及び,臨床病理学的意義について詳細な結果が得られたため,来年度は「16th World Conference on Lung Cancer(Denver,USA)」及び「第56回日本肺癌学会学術集会」において発表予定である.また,論文投稿準備中である.
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Strategy for Future Research Activity |
CADM1はその細胞外領域がsheddingされ,可溶性蛋白として存在することが知られている.SCLC患者の血清中にCADM1が存在するかどうかを証明するために,ELISA法の確立を行っている. CADM1がSCLC患者における血清マーカーとなりうることを検証中である. 次にSCLC細胞の転移抑制効果をマウスモデルで検証するために、NCI-H69 細胞の尾静脈-肺への転移形成を安定に行えるようにする。そして、CADM1 機能阻害活性をもつヒト化抗体,又は,CADM1分子経路の機能阻害剤を用いて、ヒト SCLC 細胞のヌードマウス転移モデルにおける転移抑制効果を判定する。
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Causes of Carryover |
各種抗体,プラスチック器具,一般試薬などの消耗品の多くはすでに購入済みのものを使用したため,今年度に購入する必要はなかった.今年度購入しなかった分は次年度の研究に使用したいと考えている.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
SCLC患者における血清中CADM1検出のためのELISA法の確立のために,各種抗体及び消耗品を購入する.血清の保存にはつくばヒト組織診断センターを利用する。CADM1下流分子経路の解析には,細胞培養関連試薬,PCR関連試薬,RNAi関連試薬,各種抗体,プラスチック器具,一般試薬などを必要とする.一方,マウスを用いた転移抑制モデルの解析には,マウス購入費,マウス飼育費を必要とする.さらに,研究成果の社会への発表の目的で,論文投稿費,英語論文校閲費,成果発表のための国内,外国旅費を必要とする.
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Research Products
(1 results)