2015 Fiscal Year Annual Research Report
細胞接着分子CADM1を分子標的とする小細胞肺癌の治療法の開発
Project/Area Number |
24790802
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
菊池 慎二 筑波大学, 医学医療系, 講師 (80588971)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 小細胞肺癌 / CADM1 / スプライシングバリアント / 分子標的治療 / 予後 / 血清診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫グロブリン・スーパーファミリー細胞接着分子CADM1は非小細胞肺癌(NSCLC)を含む様々な上皮系の癌において腫瘍抑制に関与する.我々は小細胞肺癌(SCLC)におけるCADM1の役割について研究した.まず,real-time RT-PCR法及びWestern blot法によりCADM1がSCLC細胞株では高頻度に過剰発現することを見出した.また,SCLCで発現するCADM1は正常肺や正常脳では認めない特異的なスプライシングを受けており,マウス正常組織では精巣のみに発現していた.機能解析では,siRNAによりCADM1発現を抑制したSCLC細胞では球状細胞集塊の形成が抑制された.さらにCADM1バリアントを強制発現させたSCLC細胞ではマウスでの腫瘍形成能が亢進することを見出し,CADM1がSCLCの悪性増殖や転移能と強く相関している可能性が示唆された.さらに,肺癌手術検体の免疫組織化学染色の検討により、SCLCではCADM1が71%で強陽性であり、患者の予後不良と有意な相関を示すことを見出した。以上の結果より、CADM1バリアントがSCLCの悪性増殖能や転移能と強く相関しており、治療の分子標的となる可能性を持つことが強く示唆された(論文準備中)。 本年度はCADM1に着目した小細胞肺癌の血清学的診断法及び予後予測の検討を行った.CADM1はその細胞外領域がsheddingされ,可溶性蛋白として存在する。そこで我々は、SCLC患者の血清中に可溶性CADM1が存在することを検証するため、サンドイッチELISA法の確立を行った。また,血中循環腫瘍DNAを採取して,我々が見出した小細胞肺癌に特異的に発現するスプライシングバリアントを解析することにより,小細胞肺癌の新しい診断法及び治療方針に関わる血清マーカーとなる可能性を検討している。
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Research Products
(2 results)