2013 Fiscal Year Research-status Report
肺線維化進展における組織幹細胞・前駆細胞の意義の解明とその免疫学的除去の試み
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24790806
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
坂上 拓郎 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (00444159)
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Keywords | 組織幹細胞 / 間質性肺炎 / 分化 / アポトーシス |
Research Abstract |
本研究は原因不明とされる間質性肺炎の結果として起こるとされていた肺線維化の進展機序に対して、今までの炎症をベースとした理論からは全く異なる、肺組織幹細胞の分化異常という視点から研究が計画され進められている。 本年度はヒト検体を用いた研究では、引き続き当施設での診療を行われている肺線維化を伴う症例を基礎疾患別にデータベース化する作業を継続した。旧来の炎症をベースとした疾患として考えられるANCA関連の間質性肺炎や、膠原病関連の間質性肺炎に加え、抗炎症療法として用いられるステロイドホルモン剤に抵抗性の症例も抽出を行った。このような症例は、本研究のコンセプトに合致する症例である。 また、マウスを用いた研究としては肺線維化モデルとしては最も一般的であるブレオマイシン誘発肺線維症モデルを用いている。前年度に得られたデータより、もっともCD133陽性細胞が得られやすいブレオマイシン負荷7日目のマウス肺と、ブレオマイシンによる炎症を誘発しない定常状態の肺よりのCD133陽性細胞の抽出を試みた。抗CD133抗体とミルテニー社のMACSシステムを用いた磁気抽出法により、両肺よりCD133陽性細胞の抽出、生成に成功した。これを用いて同細胞の免疫学的除去を試みるために、同細胞に20000J のUVを照射しアポトーシスを誘導した。時間経過でのアポトーシスの程度をanexinVを用いて決定した。そのデータより24時間後の細胞を用いて、マウス皮下への接種を行い、さらにそれらマウスに対してのブレオマイシン負荷を行った。予備実験では、アポトーシス細胞の接種マウスとコントロールマウスの間での線維化に関するマーカーの大きな変化は認められなかった。 現在は検体数を増やし検討を継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・マウスを用いた実験では、定常状態でのCD133陽性細胞の抽出に関しても方法論的に確立ができた。現在は直接のワクチンでの免疫学的除去を試みており、さらに推進する予定である。 ・ヒト検体を用いた研究では、マウスでの方法論の確立が本年度にずれ込んだことにより、ヒト検体でのCD133陽性細胞の抽出がこれからの課題である。データベース化、症例の抽出に関しては概ね計画通りであり、次年度には遂行可能と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1.マウスを用いた研究では、現在はアポトーシスを誘導した幹細胞を直接ワクチンすることによる免疫学的除去を試みているが、個体数を増やした際に除去が思わしくない場合には、マウス骨髄より誘導した抗原提示細胞とアポトーシス誘導CD133陽性細胞の共培養を行い、同抗原を認識する抗原提示細胞をin vitroで誘導する。その細胞をマウスにワクチンすることにより、より強力な免疫学的除去を試みる。 2.ヒト検体を用いた研究では、マウスで確立した肺からのCD133陽性細胞の抽出法をヒト末梢血からの抽出に応用する。また、倫理委員会の認定のもとにヒトVATS検体からの抽出も試みる。同県対においては、網羅的な蛋白発現解析や、遺伝子発現解析をすすめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ヒト検体収集がやや遅れており、本年度に行う予定であった、ヒト肺標本を用いた解析に要する費用を使用しなかったためである。 次年度にはヒト肺検体を用いた、CD133陽性細胞の抽出から、網羅的発現解析まで実際の解析が行われる予定であり、予定通りの執行が可能である。
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