2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24790810
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
永野 達也 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (80624684)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
Phospholipase Cepsilon (PLCepsilon)の野生型(WT)マウス、ノックアウト(KO)マウスの肺を卵白アルブミン(OVA)の再刺激の前後で取り出し、樹状細胞の表面マーカーであるCD11cのmRNAの量をqRT-PCRにより解析したところ、遺伝子型による違いは見られなかった。続いて、蛍光標識したOVAにより再刺激を行い、24時間後に領域リンパ節へ移動してくるCD11c陽性細胞とFITC標識OVAを2重免疫染色で観察したが、遺伝子型による違いを認めなかった。次に、それぞれのマウスの大腿骨、脛骨から骨髄細胞を取り出し、肥満細胞に分化誘導させた後、PLCepsilonの発現をRT-PCRで調べたが、他のPLC分子種とは異なりPLCepsilonは肥満細胞には発現しておらず、beta-hexosaminidase遊離試験により脱顆粒への影響も調べたが、遺伝子型による違いを認めなかった。一方で、WTマウス、KOマウスの領域リンパ節をOVAの再刺激の後で取り出しフローサイトメトリーにより解析したところ、WTマウスでみられる総細胞数、CD3epsilon陽性細胞数の増加が、KOマウスでは有意に抑制されていた。それぞれのマウスの肺を免疫染色したところ、PLCepsilonは上皮間葉系細胞、リンパ節の間質系細胞に発現しており、炎症性サイトカインであるCcl2、Cxcl2の発現がKOマウスではWTに比して抑制されていた。それぞれのマウス由来の線維芽細胞と気道上皮細胞を初代培養を行った後、TNFalphaで刺激させたところ、それら炎症性サイトカインのmRNAの発現がKOマウスでは有意に抑制されていた。以上の実験結果から、PLCepsilonは上皮細胞からの炎症性サイトカインの分泌に関与しており、アレルギー性気道炎症において重要な分子であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
喘息モデルの実験として計画していた①PLCepsilonの樹状細胞に与える影響の評価、②領域リンパ節周囲におけるPLCepsilonの発現解析、③上皮間葉系細胞の初代培養は、研究実績の概要に記載した通り全て終了しており、肺線維症モデルに関する実験を今年度に行なっていくのみとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
肺線維症の実験を行うにあたって、書類上の準備、必要マウスの準備は終了しており、計画書に記載した計画通りに実験を行なっていく。すなわちブレオマイシン肺線維症モデルを作成し、PLCepsilonのKOマウスとWTマウスおよびトランスジェニック(TG)マウスの間での表現型の差異をまず確認する。PLCepsilonが上皮間葉系細胞において炎症誘導に働いていると推測しており、PLCepsilonのKOマウスでは線維化の抑制が、TGマウスでは炎症反応の亢進による線維化の亢進が観察できると予想される。 続いてPLCepsilonのWTマウスの線維化モデルにおいて、線維化巣に存在し、線維化に重要な役割を果たしている筋線維芽細胞中にPLCepsilonが発現していると予想しており、免疫染色、RT-PCR等により解析する。 さらに、上皮間葉系細胞におけるPLCepsilonの発現を解析し、ヘルパーT細胞を中心とした炎症細胞のサブセットを決定し、PLCepsilonが上皮系サイトカインの分泌を制御する機構について上皮間葉系細胞の初代培養を行い解析していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品費、旅費等の費用に分けて記載する。 まず消耗品費に関しては、実験用試薬として病理標本作成用に10万円、分子生物学実験試薬に100万円、細胞培養用に10万円、実験用器具代としてプラスチック製品に10万円、ガラス製品に10万円の計140万円の使用を計画している。 次に旅費等の費用として、国内の研究成果発表用に5万円、外国での研究成果発表用に25万円、実験動物の飼育管理費に20万円、研究成果投稿用の費用として10万円の計60万円の使用を計画している。
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Research Products
(1 results)