2012 Fiscal Year Research-status Report
癌関連線維芽細胞(CAF)を標的とした胸膜中皮腫の新たな治療法の開発
Project/Area Number |
24790815
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
金地 伸拓 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (60403789)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 悪性胸膜中皮腫 |
Research Abstract |
(1)Collagen gel contraction assayによる線維芽細胞のコラーゲンゲル収縮能の評価。悪性胸膜中皮腫細胞培養液により、正常肺線維芽細胞のコラーゲンゲル収縮能が増強することをデジタルカメラ搭載実体顕微鏡システムを用いて確認した。線維芽細胞によるコラーゲンゲル収縮能増強の普遍性を証明するため、3種類の悪性胸膜中皮腫細胞(H28, H226, H2052)および3種類の正常線維芽細胞(HFL1, IMR90, MRC5)を使用した。その結果、いずれの正常線維芽細胞も、悪性胸膜中皮腫細胞由来培養液により、コラーゲンゲル収縮能は増強することが判明した。 (2)PDGFによるコラーゲンゲル収縮能の変化の有無。PDGF-BBにより、HFL1のコラーゲンゲル収縮能は亢進した。PDGF-AAでは変化を認めなかった。 (3)悪性胸膜中皮腫細胞由来培養液による線維芽細胞のαSMA発現亢進の有無の確認。悪性胸膜中皮腫細胞H28由来培養液により、正常線維芽細胞HFL1のαSMAの発現に変化があるかどうかをウエスタンブロットで確認した。αSMAの発現は減少した。外因性にTGF-β1で刺激するとHFL1のαSMA発現は亢進した。 (4)TGF-β1による悪性胸膜中皮腫細胞の上皮間葉転換(EMT)の有無の確認。TGF-β1を加え、悪性胸膜中皮腫細胞の上皮系マーカーと間葉系マーカーの発現をウエスタンブロットにて確認した。H28,H226細胞のE-cadherinは検出できなかった。H226細胞のN-cadherin、H2052細胞のCK8は、TGF-β1により発現に変化を認めなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実施計画書には、ELISAによるPDGFおよびTGF-β1の濃度の測定を記載した。これらのELISAについては、実際には試みたものの現時点ではassayそのものがうまくできておらず、結果が不明である。また、これらの発現をみる他の方法として、ウエスタンブロットがあるが、できていない。この点から、達成度としては、やや遅れていると評価する。 一方で、線維芽細胞のコラーゲンゲル収縮能の評価においては、線維芽細胞を3種類使用した。これは、計画よりも多く、より普遍性のある結果が得られた。この点に限れば、計画書以上にできたと判断できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)PDGFおよびTGF-β1のELISA assayがうまくできなかった理由は、使用した抗体の問題であると考えており、新たに購入し、研究をすすめていく予定である。抗体を変更しても、assayが成功しない場合、ウエスタンブロットによる評価を予定する。 (2)悪性胸膜中皮腫細胞の悪性度評価 線維芽細胞が悪性胸膜中皮腫細胞の悪性度を亢進させることを想定しており、線維芽細胞由来培養液を用いて、chemotaxis assayによる遊走能やMatrigel assayによる浸潤能の評価を行う。線維芽細胞由来培養液により、悪性胸膜中皮腫の遊走能や浸潤能は亢進することを想定している。これらの評価の後、原因となる因子を特定する予定であり、fibronectinが一因であることを想定している。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
遊走能を評価するchemotaxis assayに用いる48-well chemotaxis chamber(Neuro Probe, Inc, AP48)の購入には約27万円を要するが、繰り返し使用可能である。他は、消耗品が主体であり、ELISAに用いる各種抗体、chemotaxis assayに用いるmembrane, fibronectin、浸潤能を評価をするMatrigel assayに用いるMatrigel chamberなどが必要である。 これらは、ほぼ当初の計画通りである。
|