2013 Fiscal Year Annual Research Report
急性肺障害におけるCTLA4を介したT細胞活性の重要性
Project/Area Number |
24790819
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中島 剛 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (70328277)
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Keywords | 急性肺障害 / CTLA4 |
Research Abstract |
急性肺障害は自然免疫応答として長年研究されているが、いまだに有効な治療法がない。本研究では、獲得免疫の中心的役割を担うT細胞の免疫抑制分子であるCytotoxic T Lymphocyte Antigen 4(CTLA4)シグナルを介したT細胞活性の観点から、急性肺障害の病態解明に努めた。 我々は、LPS気道内投与動物モデルにおいて炎症マーカーとともにCTLA4発現が上昇し、制御性T細胞を誘導するとされる免疫抑制剤、ラパマイシンの投与によって肺の炎症が抑制されることを示した。 LPS刺激後のマウスT細胞で各種活性化シグナル伝達分子を測定したところ、CREB(cAMP応答配列結合タンパク)が増加していたことから、cAMP/PKAシグナルに着目した。マウスT細胞において、cAMP刺激によりCTLA4発現が増加すること、PKAを介してCTLA4プロモータ活性が増加することを示した。また、ChIPアッセイにてcAMP刺激によりCREBがCTLA4のプロモータ領域に結合する可能性を示唆した。 動物モデルでは、ラパマイシンをLPS誘発前後のタイミングで、また、腹腔内だけでなく気道内にも投与し比較検討した。LPS誘発によりcAMP、CTLA4発現の上昇を認め、ラパマイシンにより、ともに抑制された。気管内投与よりも腹腔内投与において炎症をより強く抑制し、低濃度ラパマイシンがより高い炎症減弱効果を示した。気道炎症に対しても局所でなく全身性に炎症を抑える必要性があること、高濃度ラパマイシンではエフェクターT細胞のみならず、制御性T細胞も抑制してしまうことが原因と考えられた。これらの結果から、LPS誘発性炎症がcAMPシグナルを介しCREBを活性化、CTLA4を誘導し、ラパマイシンにより修飾されることが示唆され、急性肺障害の治療に応用できる可能性があると考えられた。
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Research Products
(2 results)