2013 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的遺伝子解析手法を用いたゲフィチニブ耐性化の機序の解明
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24790822
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
寺井 秀樹 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (50445293)
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Keywords | EGFR-TKI / 肺癌 / 獲得耐性 / FGF2 / FGFR1 |
Research Abstract |
肺癌細胞株のEGFR-TKIへの耐性獲得の新たな機序を調べるために、EGFR遺伝子変異を有し、EGFR-TKIに対して感受性のあるPC9肺癌細胞株を用いて実験を行った。まず、PC9をEGFR-TKIの1種であるゲフィチニブを低濃度より徐々に濃度を上げながら約半年間曝露することにより耐性株(PC9-GR)を作成。その耐性株をクローン化してPC9-gr1とPC9-gr3を作成。これら4種類の細胞株より抽出したRNAを用いて網羅的な発現解析を行った結果、FGF2およびFGFR1のmRNAの発現が、耐性株においてPC9-NAと比較して亢進していた。この変化は、Taqman primerを用いた定量的PCR、さらにFGFR1はWBを、FGF2はELISAを用いた蛋白レベルでの解析でも確かめられた。耐性株では、FGFR阻害剤の一種であるPD173074と併用することでゲフィチニブへの感受性が回復した。また、これらの耐性株ではFGF2もしくはFGFR1に対するsiRNAを用いた遺伝子発現抑制によってもゲフィチニブへの感受性が回復。PC9-GRを用いたWBでは、ゲフィチニブ単独では抑制されなかったAKTやERKのリン酸化が、PD173074を同時に加えることで抑制されることが確かめられた。また、FACSを用いた解析でも、PC9-GRにおいてはゲフィチニブ単独と比較してPD173074を同時に加えることで、アポトーシスが強く誘導されることが判明。以上から、EGFR遺伝子変異を持つ肺癌細胞株において、EGFR-TKIへの耐性獲得機序の一つとしてFGF2-FGFR1経路の活性化が存在しうることを示した。これらの成果に関して、2013年AACR、Molcular Cancer Research; 2013; 759.にて報告。さらに、同細胞株において、DNAメチル化の変化を網羅的に解析。ゲフィチニブ耐性と共に変化していることが疑われる候補遺伝子を同定。それら候補遺伝子に関してさらに解明をすすめている。
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