2012 Fiscal Year Research-status Report
高血圧責任遺伝子同定への新規アプローチ:ストレス応答遺伝子と高血圧をつなぐ
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24790846
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
大原 浩貴 島根大学, 医学部, 助教 (10609225)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 高血圧 / 疾患モデル / ストレス / 交感神経 |
Research Abstract |
本研究の目的は、高血圧モデルラットSHRSPのストレス性高血圧遺伝子を同定することである。現在までに、SHRSPにおいて交感神経活性亢進を介する血圧上昇に関わる遺伝子の存在領域を、第1染色体の約1.2 Mbpの範囲に絞り込んだ。また、この領域に含まれるStim1遺伝子について、SHRSPでナンセンス変異が存在し、また野生型より短い変異型STIM1が発現していることを見出した。 本年度は、Stim1を有力な候補遺伝子と考え、種々の解析を行った。まず、交感神経活性と血圧調節の中枢である吻側延髄腹外側野(RVLM)を含む脳幹領域をターゲットとして、STIM1の発現量をSHRSPと正常血圧ラットWKYの間でウェスタンブロット法により比較した。無処置のコントロール群において、SHRSPの方がWKYよりも有意に発現量が低かった。これは、4℃・6時間の低温ストレスを加えたストレス負荷群においても同様だった。 STIM1は小胞体カルシウム貯蔵センサーであり、細胞膜チャネルタンパクORAI1やTRPC1およびTRPC4を介した細胞質へのカルシウム取り込みに必須である。そこで現在、内因性の変異型STIM1の機能評価を目的として、SHRSPおよびWKY胎児由来のアストロサイトを用いたカルシウムイメージングを行っている。系統差を見出しつつあるが、まだ結論には至っていない。これと並行して、野生型と変異型のSTIM1、およびSTIM1の機能的パートナーであるORAI1やTRPC1/4のcDNA配列を組み込んだ発現プラスミドベクターを構築した。現在、共発現系による評価を行うべく、準備を進めている。 我々が新規に見出した変異型STIM1は機能的に重要なドメインを欠失している。この変異がSHRSPにおける交感神経活性亢進に関与しているかは不明だが、現時点における最も有力な候補遺伝子である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要で述べたとおり、現在、候補遺伝子の機能解析をカルシウム蛍光インジケーターを用いた培養細胞カルシウムイメージングを軸として展開中である。我々の研究施設内で実現可能なカルシウムイメージング法の確立に時間がかかり、機能的評価はまだ不十分である。また、複数の遺伝子をターゲットにして発現プラスミドベクターを構築したが、正しcDNA配列が組み込まれているもののウェスタンブロッティングにおいて予想と異なる位置にバンドが検出される、シーケンシングが困難でエラーの有無の確認ができないなど、解析を進める上でクリアすべき問題点が複数あり、これらが研究計画の進行の妨げになっている。適宜対応しているが、主たる目標である候補遺伝子の機能的評価がうまく進行していないという点で、やや遅れていると判断せざるを得ない。 ただし、機能的異常を引き起こし得る変異が存在する遺伝子を研究計画の早期に同定できているという点においては、おおむね順調に進展していると判断してもよいと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
方法論の面で当初の研究計画と異なるところはあるが、有力な候補遺伝子の同定には成功している。今後の課題は、野生型タンパクと変異型タンパクの機能的差異の評価とそれに基づく交感神経活性亢進への関与の解明である。この目的のため、現在行っている培養細胞レベルでのカルシウムイメージングを軸とする機能評価を継続して実施する。これと並行して、ラット個体レベルでのストレス応答性を評価するため、アデノウイルスベクターを用いたRVLMへのマイクロインジェクションの実験系の構築に取り掛かる。培養細胞レベルで機能的差異の評価とその分子基盤の解明を目指し、最も重要と考えられるストレス応答性の評価は培養細胞系では不可能なので、in vivoマイクロインジェクションの実験系で補完する。これらを組み合わせることで、Stim1のストレス性高血圧原因遺伝子としての評価が可能になると考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(3 results)