2012 Fiscal Year Research-status Report
顕性糖尿病性腎症への病態進展に係わるエピジェネティクスの網羅的解析
Project/Area Number |
24790854
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
川崎 靖 岩手医科大学, 薬学部, 助教 (60385549)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 糖尿病性腎症 / エピジェネティクス / メタボリックシンドローム / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
平成24年度は糖尿病や生活習慣病による腎糸球体血管内皮細胞のエピジェネティクス変化 (DNAメチル化)をゲノムワイドに解析し、糖尿病性腎症の発症・病態進展機序に係わる糖尿病性腎症関連遺伝子の探索を目的として以下の実験を行った。 1.メタボリックシンドロームモデルラットの飼育 生活習慣病に関連したエピジェネティクス変化を解析するために、高血圧で糖尿病を発症するメタボリックシンドロームモデルラット、その対照群として高血圧発症ラットと正常ラットの3系統のラットを各n=5で飼育し、1カ月毎に体重、採血および採尿を行った。飼育33週目において、メタボリックシンドロームモデルラットは正常ラットと比べ、体重は1.5倍に増加するとともに尿中タンパク質量は平均80 mg/dayを示し、糖尿病性腎症が発症していると考えられる。尿中タンパク質量の結果より、飼育期間を延長し44週までの飼育を予定している。 2.腎糸球体血管内皮細胞の分取とメチル化DNA調製の条件検討 腎糸球体は種々の細胞群から成り立っているが、DNAメチル化状態は細胞種により大きく異なるため、エピジェネティクス変化を解析する上では、単一の細胞種を得ることが重要である。ラット腎臓より篩を用いて糸球体を分離した後、コラゲナーゼにより細胞を分散した。血管内皮細胞マーカー抗体で標識した後、フローサイトメトリー(FACSAria)により血管内皮細胞を分取した。その結果、1匹のラットより糸球体血管内皮細胞を95%の純度で70,000細胞分取した。次に、血管内皮細胞よりゲノムDNAを調製し、メチル化DNA結合タンパク質を結合させた磁気ビーズを用いて、メチル化DNAを調製した。血管内皮細胞でプロモーター領域のDNAメチル化が報告されているIL-8のプロモーター領域を陽性対照群として調べた結果、メチル化DNAが特異的に調製できていることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メタボリックシンドロームモデルラットは持続的にタンパク尿を生じており、糖尿病性腎の発症に至っていると考えられる。腎糸球体から血管内皮細胞の分取とメチル化DNA調製の条件検討が終り、次世代シーケンサーを用いたメチル化DNAの網羅的な解析を行う準備が完成した。
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Strategy for Future Research Activity |
メタボリックシンドロームモデルラット飼育33週目の段階で、持続的なタンパク尿を生じており、糖尿病性腎症を発症していると考えられる。本研究課題は糖尿病性腎症の進行した顕性糖尿病性腎症におけるエピジェネティクス変化の解析を目的としており、糖尿病性腎症状態を長期間暴露するために、更に11週間の飼育を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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