2013 Fiscal Year Research-status Report
顕性糖尿病性腎症への病態進展に係わるエピジェネティクスの網羅的解析
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24790854
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
川崎 靖 岩手医科大学, 薬学部, 助教 (60385549)
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Keywords | エピジェネティクス / メタボリックシンドローム / 血管内皮細胞 |
Research Abstract |
平成25年度はメタボリックシンドロームモデルラットの特性解析と腎糸球体血管内皮細胞のDNAメチル化変化を次世代シーケンサーによる網羅的な解析を行った。 1.長期飼育したメタボリックシンドロームモデルラットの特性 メタボリックシンドロームモデルラットと高血圧発症ラットおよび正常ラットを1年3カ月間飼育し、その特性を解析した。メタボリックシンドロームモデルラットは他の群に比べ、体重および体重当たりの脂肪組織の割合が著しく高く、血清中の中性脂肪およびインスリン値も高値を示し、収縮期血圧は184 mmHgであった。このことより、メタボリックシンドローム状態であり且つインスリン抵抗性を示していると考えられた。また、メタボリックシンドロームモデルラットは、尿中タンパク質量およびアルブミン量が増加しており、腎切片において糸球体周辺でのフィブロネクチンの発現と糸球体および尿細管間質への単球・マクロファージ細胞の浸潤が観察された。腎皮質でのDNAメチル化関連酵素の発現をリアルタイムPCRで検出した結果、メタボリックシンドロームモデルラットではDNAメチル化酵素Dnmt-1、3aと3bおよびDNA脱メチル化関連酵素のTET-2とTET-3の有意な発現上昇がみられた。 2.糸球体血管内皮細胞の分取と次世代シーケンサーによる網羅的な解析 各系統のラット腎糸球体より分取した血管内皮細胞からゲノムDNAを調製し、断片化後、MethylMiner法によりメチル化DNAを得た。得られたメチル化DNAよりcDNA libraryを作製し、次世代シーケンサー(SOLiD5500)にて網羅的なメチル化DNA領域の解析を行った。現在、メタボリックシンドロームモデルラットと高血圧発症ラットおよび正常ラット間でのメチル化DNA領域のゲノム解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の主要なテーマである長期間飼育したメタボリックシンドロームモデルラットの生化学的な特性、腎障害の程度および腎臓でのDNAメチル化関連遺伝子の発現変化を解析し、分取した糸球体血管内皮細胞よりメチル化DNA断片を得た。次世代シーケンサーを用いてメチル化DNA領域の網羅的な解析を完了した。現在、メタボリックシンドロームがエピジェネティクスに影響を及ぼす遺伝子の詳細をバイオインフォマティクスにより解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
腎臓でDNAメチル化関連遺伝子の発現変化が生じていたことからも、メタボリックシンドロームの環境要因により、DNAメチル化変化が病態発症・進展に関連することが示唆された。そこで、当初の計画に沿いエピジェネティクス治療薬によるメタボリックシンドロームによる腎臓障害に対する治療効果を計画している。
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