2013 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病に伴う治療抵抗性高血圧でのPKCシグナルとミネラルコルチコイド受容体の役割
Project/Area Number |
24790855
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
城 理絵 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (30464861)
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Keywords | ミネラルコルチコイド受容体 / アルドステロン / 糖尿病 / プロテインキナーゼC |
Research Abstract |
RALES試験(N Engl J Med, 1999)に代表される数々の大規模臨床研究の結果から、心血管疾患患者において、ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬が生命予後を改善させることが示されており、MRの活性化と心血管病態の進行には、強い関連が認められる。糖尿病においても、臓器合併症の進展抑制に対するMR拮抗薬の有用性が臨床的に示されており、背景病態としてMR活性化の存在が示唆される。一方、糖尿病においてはMR活性化の中心を担うそのリガンド、アルドステロンの血中濃度はむしろ低値であることが知られており、アルドステロンに対するMRの感受性を亢進させる何らかの機序が併存すると考えられる。糖尿病においては、細胞内シグナルの1つとしてプロテインキナーゼC(PKC)の活性化がみられ、さらにその活性化が糖尿病合併症の進展を促進することが知られており、本研究では、PKCによるMR活性化の有無、およびその機序を解明することを目的とした。平成24年度の報告のとおり、PKCの活性化はMR蛋白の安定化をもたらし、MR発現量を増加することでアルドステロンに対する感受性を亢進させることをin vitroのアッセイ系で示し、さらに高グルコース環境においてもPKCの活性化を介してMRが活性化していることを示してきた。平成25年度は、PKC経路に関して、さらに詳細な検討を行い、高グルコース環境ではPKCβの経路が主に活性化され、PKCβの活性化を介してMR活性化を来たすことを確認した。一方、PKCαの経路は高グルコース環境では活性化されないものの、PKCαを介しても強力にMR活性化がもたらされることを見出し、PKCαを活性化する他の環境要因として、喫煙などの関与を現在検討している。MR活性化におけるPKCαの関与を示したことは、糖尿病合併症の予防に対してPKCβ阻害薬のみで十分な効果が得られないという臨床的事実を支持しており、今後はPKCα阻害を合わせた創薬開発を目指して行く。
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