2012 Fiscal Year Research-status Report
糸球体内皮細胞に発現するカベオラのアルブミン透過性に関する研究
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24790862
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
森山 能仁 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (20439821)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | カベオラ / 糸球体内皮細胞 / アルブミン |
Research Abstract |
糸球体内皮細胞(GEnC)におけるアルブミンの透過に関しては不明な点が多く、近年血管内皮細胞においてアルブミン透過に関与すると報告されているカベオラがGEnCにおいてもアルブミンの透過に関与する可能性に関して研究を進めた。 time course studyにてAlexa Fluor 488標識アルブミンはGEnC表面上に約15分で発現し6時間目までその発現は経時的に増加し続け、6時間目をピークに低下した。またカベオラの構成蛋白であるcaveolin-1と共染色したところ、co-localization rateは0.5時間から8時間目まで50%前後と上昇し、8時間目以降低下したことから、アルブミンは15分でGEnC上に発現しカベオラを経て6~8時間程度まで細胞内に取り込まれると考えられた。 更にGEnCを無血清培地で24時間静置後、カベオラ阻害薬であるnystatinもしくはmethyl-β-cyclodextorinで1時間処理した後、アルブミンを加え更に6時間培養し細胞を回収した。未処理のcontrol GEnCと比較し、処理後のGEnCではアルブミンの取り込みが容量依存性に低下することをwestern blot及び免疫染色にて確認した。この結果からアルブミンはカベオラを経てGEnCに進入することが示唆された。 これらの研究によって、従来蛋白尿の出現には関与しない、アルブミンの透過性には関与しないと考えられてきた糸球体内皮細胞がカベオラを通じアルブミンの透過に関わる可能性が示唆され、蛋白尿出現の新機序につながる重要な研究であると思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度の予定はまず、培養・継代が比較的困難とされる糸球体内皮細胞の適切な培養・継代・保存条件を確認すること、time course studyを行いアルブミンの糸球体内皮細胞内への進入の経時的変化を確かめ、最適なアルブミンとincubationする時間を明確にしたうえで、カベオラ阻害薬やSiRNAを行い、カベオラを経たアルブミンのエンドサイトーシスを証明する予定でした。細胞の培養・継代・保存条件や経時的変化の確認及びカベオラ阻害薬を用いた実験までは順調に進んでおりますが、SiRNAに難渋したためやや遅れております。SiRNAの試薬の濃度や反応時間などをいくつか試しておりますが、再現性に欠けており、ひきつづきカベオリン-1をknock downする最適なSiRNAの条件を確立したうえでアルブミン透過の実験に移る必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
まず引き続きカベオリン-1 SiRNAの適切な条件を確立した上でアルブミン透過性の実験をwestern blot及び免疫染色で確認する。 さらに細胞内のアルブミンの輸送経路として予想される微小管、ライソソーム、小胞体、ゴルジ体などを確認する。微小管は微小管阻害薬(Nocodasole, Colcemide)などを用い細胞内進入が度外されるかを標識アルブミンを用い免疫染色で確認する。また、ライソソーム、小胞体、ゴルジ体などは各オルガネラマーカーを用い、標識アルブミンと二重染色されるかどうか経時的に観察する。 アルブミンのエンドサイトーシス、トランスサイトーシス、エクソサイトーシスの確認として、免疫電顕を行い免疫金染色をアルブミンに施し、経時的な変化を観察する。 最終的には新規薬剤の発見や従来使用されてきた薬剤の作用機序の解明を目的とし、 カベオラを阻害する可能性のある脂質治療薬(HMG-CoA還元酵素阻害薬、Fish Oil、フィブラート系薬)、エンドセリン受容体拮抗薬、レニンアンギオテンシン系阻害薬、Paclitaxelなどを使用し、アルブミンのエンドサイトーシスが抑制されるかどうか確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞の培養継代に使用する専用のmediumやファイブロネクチンコートの培養皿やフラスコ、カベオリン-1 SiRNAに使用するSiRNA reagentや専用medium、微小管阻害薬、オルガネラマーカー、免疫電顕用の試薬、抗体、カベオラを阻害する可能性のある各種薬剤など、プラスチック器具、ガラス器具などの消耗品が必要である。
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Research Products
(2 results)