2013 Fiscal Year Annual Research Report
プロテインCインヒビターによるアノイキス誘導に基づく新規腎癌治療法の開発
Project/Area Number |
24790865
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
秋田 展幸 鈴鹿医療科学大学, 医用工学部, 助教 (70597327)
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Keywords | プロテインCインヒビター / ガン / 転移 / アノイキス |
Research Abstract |
プロテインCインヒビター(PCI)は、主として肝細胞で産生されるセリンプロテアーゼインヒビターの1種であり、血液凝固、癌細胞の増殖、浸潤・転移、及び血管透過性の制御など、様々な生体反応に関与する。 我々はこれまでに、PCIを癌細胞に発現させた場合、自身の増殖や転移が阻害されること、前者はその血管新生抑制活性に基づくこと、後者はアノイキス抵抗性の抑制に起因する可能性を示唆してきた。本研究では、in vivoでのPCIの癌細胞の増殖や転移における役割を明確化するため、細胞が発現するPCIと共に宿主PCIの癌細胞の増殖及び転移に及ぼす影響をPCI強制発現B16メラノーマ(B16)細胞、及びヒトと同様のPCI発現臓器分布を有するヒトPCI遺伝子トランスジェニック(hPCI-TG)マウスを用いて検討を行った。 皮内に注射した野生型B16細胞の増殖は、野生型マウスに比較してhPCI-TGマウスで抑制され、PCI発現B16細胞の増殖は、両マウスで野生型B16細胞に比較して抑制された。尾静脈より注射した野生型B16細胞の転移は、野生型マウスに比較してhPCI-TGマウスで促進され、PCI発現B16細胞の転移は、両マウスで野生型B16細胞に比較して抑制された。hPCI-TGマウスで認められた野生型B16細胞の転移の促進は、抗ヒトPCIウサギIgG、あるいはトロンボモジュリンや活性型プロテインCなどの抗凝固剤を投与することにより抑制された。これらの結果より、宿主PCIもまた癌細胞の増殖を抑制するが、その抑制にはPCIによる肝細胞増殖因子アクチベータ阻害を介した活性型肝細胞増殖因子生成阻害等の癌細胞が発現するPCIとは異なる機構が関係すること、及び宿主PCIはその向凝固活性により癌細胞の転移を促進し、それはPCIが有するアノイキス抵抗性抑制活性による癌細胞の転移抑制活性に勝る可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)