2014 Fiscal Year Annual Research Report
血液神経関門を標的とした免疫性末梢神経疾患の病態解明と新規治療の開発
Project/Area Number |
24790886
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
清水 文崇 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90535254)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 自己免疫性末梢神経疾患 / 血液神経関門 / 慢性炎症性脱髄性根ニューロパチー / 多巣性運動ニューロパチー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は慢性炎症性脱髄性根ニューロパチー(CIDP)患者/多巣性運動ニューロパチー(MMN)患者血清を作用させて,血液神経関門(BNB)構成血管内皮から局所的に放出されるサイトカイン/ケモカインを網羅的に解析した.非対称型CIDP/MMN患者血清を作用させるとBNB構成内皮が産生するIP-10が増加することを明らかとし,T細胞のBNBを超えた末梢神経内侵入を惹起するメカニズムを推測した.この3年間でCIDP/MMN患者血清がBNB破綻を引き起こす分子メカニズムを解明した.CIDP患者を対象とした研究では,典型的CIDP/非対称型CIDP患者血清を作用させるとBNB in vitroモデルでのバリアー機能を反映する電気抵抗値が低下し,tight junction関連蛋白であるclaudin-5蛋白量が低下することを示した.さらに,CIDP患者血清を作用させることで認められるBNB in vitroモデルのバリアー破綻の程度が,臨床症状の重症度や神経幹部の脱髄所見などのCIDP臨床パラメーターと有意に相関することを明らかとした(PLOS One 2014; 9: e104205).MMN患者を対象とした研究では,1.MMN患者血清を作用させるとBNB in vitroモデルの電気抵抗値が低下し,claudin-5蛋白量が低下し,細胞接着因子であるVCAM-1蛋白量が増加すること,2. MMN患者血清中に含まれるBNB構成内皮に対する自己抗体と血清を作用させることでBNB構成内皮からautocrineに放出されるVEGFがBNB破綻を惹起させる重要な分子であることを明らかとした (J Neurol Neurosurg Psychiatry 2014; 85: 526-37). 本研究で得られた成果はBNBに照準を絞った新たなCIDP/MMNの治療に発展することが期待される.
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Research Products
(9 results)