2012 Fiscal Year Research-status Report
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24790893
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
土井 宏 横浜市立大学, 医学部, 講師 (10326035)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | エクソーム / 脊髄小脳変性症 |
Research Abstract |
対象とした常染色体劣性遺伝性脊髄小脳変性症(ARSCA)2家系(家系Aおよび家系Bとする)のホモ接合性マッピングおよび、常染色体優性遺伝性脊髄小脳変性症(ADSCA)2家系(家系Cおよび家系Dとする)のうち家系Cの連鎖解析についてはすでに終了していた。家系Aについては次世代シーケンサーを用いたエクソーム解析まで終了し、その結果、10種類の疾患責任遺伝子候補が同定されたがそのうち変異効果予測ソフトで病的変異と判断されたのは遺伝子Xのミスセンス変異1種類であることを確認していた。平成24年度予定していたのは下記の項目であった。 1.ARSCA1家系で認められた新規ARSCA責任遺伝子候補である遺伝子Xの変異について、孤発例、他の家族例SCAで認められないかどうか、現在所有しているSCA患者DNA160例のスクリーニングを行ったが、確実に病的といえる遺伝子Xの変異をホモ接合性変異体、または複合ヘテロ変異体としてもつ例を発見できなかった。しかしARSCA家系を収集、解析していいく過程で、本邦でまったく報告のなかったSPG7変異例、SCARB2変異例を発見し、それぞれ英文論文を作成した。家系Aについては複数家系で遺伝子Xの変異が確認できれば平成24年度内に論文報告を行うことを目指していたが、他施設から遺伝子X変異が類縁疾患である常染色体劣性遺伝性痙性対麻痺(ARHSP)の原因であるとの報告が平成24年12月に論文掲載されたため、家系Aについてはセカンドリポートとして論文執筆中となっている。 2.ARSCA1家系およびADSCA2家系のエクソーム解析家系Bの罹患者2名、家系C、Dの罹患者4名のエクソーム解析を行う予定であり、順調に解析を終了した。現在本学遺伝学教室研究室で蓄積した正常人、他疾患のエクソームデータから、頻度を確認し病的と思われる変異をピックアップしているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ARSCA1家系(家系A)で認められた新規ARSCA責任遺伝子候補である遺伝子Xの変異について、家系Aについては複数家系で遺伝子Xの変異が確認できれば平成24年度内に論文報告を行うことを目指していたが、他施設から遺伝子X変異が類縁疾患である常染色体劣性遺伝性痙性対麻痺(ARHSP)の原因であるとの報告が平成24年12月に論文掲載された。そのため、家系Aについては臨床像を主体とする報告に切り替える必要があり、臨床情報の再収集を行ったため報告作成まで時間を要したが現在は論文投稿直前となっている。 ARSCA家系を収集、解析していいく過程で、本邦でまったく報告のなかったSPG7変異例、SCARB2変異例を発見し、それぞれ英文論文を作成することができた点は本邦における新たな疾患の発掘という意味において貢献できたと考えられる。 ARSCA1家系およびADSCA2家系のエクソーム解析家系Bの罹患者2名、家系C、Dの罹患者4名のエクソーム解析を行う予定であり、順調に解析を終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は下記のように研究を進めていく。 1.ARSCA2家系のうち家系Aで認められた新規ARSCA責任遺伝子候補である遺伝子Xの変異について他施設から遺伝子X変異が類縁疾患であるARHSPの原因であるとの報告が平成24年12月に論文掲載されたため、家系Aの責任変異であると確定したと考え臨床像について論文を執筆し、発表する。家系Bについては次世代シーケンサーによるエクソーム解析で認められた変異について他の家族例で認められないかどうか、現在所有しているSCA患者DNA160例のスクリーニングを行う。また、さらに新たに収集したARSCA3家系についてもエクソーム解析を追加し、各家系間で共通する遺伝子異常を検索していく予定である。 2.ADSCA家系C、Dについては、エクソーム解析は終了している。検出された変異についてエクソームデータの解析を終え、同定した疾患責任遺伝子候補に対し、ARSCA家系の場合と同様に正常コントロール、孤発例、他の家族例スクリーニングを行い、遺伝学的に責任遺伝子を確定する。 3.上記家系において新規遺伝子変異を同定したらその遺伝子の有する機能に特化した機能解析を行う。全てのデータが出そろい次第論文を作成し成果を公表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上述のように家系Aについて研究方針を変更したため家系Aで見つかった遺伝子Xの機能解析を行う必要がなくなったこと、および米国神経科学会で発表を行うことができなかったことから繰越金が生じた。 繰越金については新たに追加で収集したARSCA家系のエクソンキャプチャー試薬の購入に充当するよていである。 次世代シーケンサー解析により多数の塩基変化が同定されるが、その検証には従来型のサンガーシーケンスが必須であるため、その経費としてPCR試薬、プライマー、シーケンス試薬購入する予定である。 その他、発表論文、海外学会(アメリカ神経科学会)での発表費用として使用する予定である。
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Research Products
(15 results)
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[Journal Article] Pathogenic mutations in two families with congenital cataract identified with whole-exome sequencing.2013
Author(s)
Kondo Y, Saitsu H, Miyamoto T, Lee BJ, Nishiyama K, Nakashima M, Tsurusaki Y, Doi H, Miyake N, Kim JH, Yu YS, Matsumoto N.
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Journal Title
Mol Vis
Volume: 19
Pages: 384-389
Peer Reviewed
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[Journal Article] Identification of a novel homozygous SPG7 mutation in a Japanese patient with spastic ataxia2013
Author(s)
Doi H, Ohba C, Tsurusaki Y, Miyatake S, Miyake N, Saitsu H, Kawamoto Y, Yoshida T, Koyano S, Suzuki Y, Kuroiwa Y, Tanaka F and Matsumoto N
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Journal Title
Intern Med
Volume: in press
Pages: in press
Peer Reviewed
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[Journal Article] A novel SCARB2 mutation causing late-onset progressive myoclonus epilepsy.2013
Author(s)
Higashiyama Y, Doi H, Wakabayashi M, Tsurusaki Y, Miyake N, Saitsu H, Ohba C, Fukai R, Miyatake S, Joki H, Koyano S, Suzuki Y, Tanaka F, Kuroiwa Y, Matsumoto N.
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Journal Title
Mov Disord
Volume: 28
Pages: 552-553
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Mitochondrial complex III deficiency caused by a homozygous UQCRC2 mutation presenting with neonatal-onset recurrent metabolic decompensation.2013
Author(s)
Miyake N, Yano S, Sakai C, Hatakeyama H, Matsushima Y, Shiina M, Watanabe Y, Bartley J, Abdenur JE, Wang RY, Chang R, Tsurusaki Y, Doi H, Nakashima M, Saitsu H, Ogata K, Goto Y, Matsumoto N.
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Journal Title
Hum Mutat
Volume: 34
Pages: 446-452
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Whole exome sequencing identifies KCNQ2 mutations in Ohtahara syndrome.2012
Author(s)
Saitsu H, Kato M, Koide A, Goto T, Fujita T, Nishiyama K, Tsurusaki Y, Doi H, Miyake N, Hayasaka K, Matsumoto N.
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Journal Title
Ann Neurol
Volume: 72
Pages: 298-300
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] A DYNC1H1 mutation causes a dominant spinal muscular atrophy with lower extremity predominance.2012
Author(s)
Tsurusaki Y, Saitoh S, Tomizawa K, Sudo A, Asahina N, Shiraishi H, Ito J, Tanaka H, Doi H, Saitsu H, Miyake N, Matsumoto N.
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Journal Title
Neurogenetics
Volume: 13
Pages: 327-332
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] CASK aberrations in male patients with Ohtahara syndrome and cerebellar hypoplasia.2012
Author(s)
Saitsu H, Kato M, Osaka H, Moriyama N, Horita H, Nishiyama K, Yoneda Y, Kondo Y, Tsurusaki Y, Doi H, Miyake N, Hayasaka K, Matsumoto N.
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Journal Title
Epilepsia
Volume: 53
Pages: 1441-1449
DOI
Peer Reviewed
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