2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24790897
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
仙石 錬平 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (40385331)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / 頭部MRI / 匂い検査 / パーキンソン症候群 |
Research Abstract |
パーキンソン病とパーキンソン病関連疾患(多系統萎縮症、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症)との鑑別に嗅球体積評価が有効であるかを検討した。パーキンソン病患者14例(平均年齢68.8±10.6歳,平均Hoehn-Yahr Stage (HY) 2.9±1.3,平均罹病期間5.0±3.7年)、多系統萎縮症11例(平均年齢69.2±7.1歳,平均HY3.5±1.4,平均罹病期間3.0±1.5年)、進行性核上性麻痺5例(平均年齢67.8±8.2歳,平均HY3.4±0.7,平均罹病期間3.2±1.6年)、大脳皮質基底核変性症5例(平均年齢75.4±4.3歳,平均HY2.8±1.3,平均罹病期間1.8±0.4年)全例にUnified Parkinson's Disease Rating Score (UPDRS)を採点し、頭部MRIによる嗅球体積測定と匂い検査(OSIT-J)、MIBG心筋シンチグラフィーを実施した。その際、頭部MRIで副鼻腔炎罹患患者は除外し、MMSEを実施し20点以下の患者も除外した。 その結果、以下の3点を明確にした。 1.嗅球体積と匂い検査とは相関傾向を示すことが判明した。2.パーキンソン病では他の疾患(多系統萎縮症、大脳皮質基底核変性症)に比し明らかに嗅球体積が小さかった(p < 0.05)。3.匂い検査(OSIT-J)は8点未満、嗅球体積は270mm3未満がカットオフになり、両条件を満たす場合はパーキンソン病である可能性が非常に高い。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パーキンソン病の非運動症状、特に嗅覚障害や睡眠障害は運動症状発現以前に出現することが判明したことで近年注目されている。なぜならパーキンソン病患者は運動症状出現時すでに黒質のメラニン含有細胞数が半減しており、メラニン含有細胞障害が軽い段階での 患者をいかに見いだすかが課題であるからである。 今回、非運動症状の一つ嗅覚障害に着目し、嗅球体積をMRIで測定する方法を確立した。その結果、パーキンソン病では明らかに嗅球嗅索・体積が低下することが判明し、さらには嗅覚テストと嗅球体積を組み合わせることによって、他のパーキンソン病関連疾患(多系統萎縮症や進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症)と鑑別するのに有用であることが示せた。上記知見が早々に得られた理由として、頭部MRIでの測定方法確立にあまり時間を有さなかったこと患者さんの協力がスムースに得られたことが大きいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、嗅粘膜の生検によりパーキンソン病の運動症状発現前にパーキンソン病患者を確認できるかの方法を構築する。そのため、得られた検体を染色するための抗体や顕微鏡が必要となってくる。 また、非運動症状の一つである睡眠障害に着目し、レム睡眠行動異常症患者の嗅球嗅索体積も測定している。この測定により今後パーキンソン病に移行するか、多系統萎縮症に移行するかの鑑別が可能になると思われる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、嗅球嗅索体積が萎縮することをふまえ、匂いの一次嗅覚路である嗅上皮にパーキンソン病関連蛋白(αシヌクレイン)が発現するかどうかを検討する。 そのため、顕微鏡の購入や染色するための抗体の購入を考えている。また、得られた知見を各種学会で最低4学会以上に出席し、積極的に発表する。
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