2012 Fiscal Year Research-status Report
小児神経筋疾患の非侵襲的鑑別診断を目的とした、表面筋電図解析法の研究開発
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24790900
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
東原 真奈 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 助教 (20622476)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 筋電図定量解析 / 小児 / 神経筋疾患 / 表面筋電図 / MUNE |
Research Abstract |
研究課題である「小児神経筋疾患の非侵襲的鑑別診断を目的とした、表面筋電図解析法の研究開発」は、疼痛の伴う針筋電図検査による神経筋疾患の鑑別診断に代わる方法として、非侵襲的な電気生理学的手法である表面筋電図を用いた定量解析法を開発することを目的としている: 1) 当院小児科患児例での検討:筋ジストロフィー例で前脛骨筋における表面筋電図検査を施行した。電極配置については成人における検討と同様の配置で、小児においても表面筋電図でも針筋電図と同じmyopathic patternを示すことが明らかになった。 2) 対象症例を増やしての検討:当院小児科および帝京大学神経内科のみでは対象症例数が少なく、電極配置や皮下組織の厚さの影響、正常値の確立について十分な評価・解析が困難であることから、国立精神・神経医療研究センター小児科に研究協力を要請し、協力が得られることとなった。すでに同センターにおける倫理申請を行っており、25年度からより多くの被検児を対象として検査と解析をすすめていく方針としている。 3) MUNEについての検討:CI法の比較対象となるMUNEについて、より適切な定量解析法を考案するための研究を行った。特に遠隔電場電位のMUNEに与える影響についての詳細な検討を行い、遠隔電場電位が小指球のMUNEの信頼性を低下させている事実を見出した。 4) 結果の学会ならびに論文発表:以上の成果、及びその他の関連する研究の成果について、2012年6月のイスタンブールでの定量筋電図学会、10月のオーランドでのアメリカ神経筋電気診断学会、3月のアメリカ神経学会などの国内・国際学会において発表し、また複数の論文発表、投稿を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績に書いたように、筋疾患患児における検討で、患児の検査に対する理解や協力が得られなくても、針筋電図検査で得られるのと同様のmyopathic patternを証明することができた。これは少数例であっても、本研究の有望性を示唆するものであり、重要な知見と考えている。また、現在もっとも汎用されている運動ニューロンの定量評価法であるMUNEについて、より適切な定量解析法を考案するための研究を行い、その問題点を見出すことが出来た。一方で、対象となる小児の神経筋疾患患児数が少ないことから、24年度前半終了後、精神神経医療研究センター小児科に共同研究を依頼し、了承を得ることができた。本研究についての同施設での倫理申請もすませており、25年度より研究対象数が増えることが期待できるため、次年度さらに研究を推進させるための最大の準備が整ったものと考えている。2012年度の研究実績としては、4編の当該研究・関連研究についての英文論文の掲載・採択を実現し、6件の国際学会発表を行った。以上から、本研究は順調に進展しているものと自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度より精神神経医療研究センター小児科の研究協力を得られることになったため、研究対象数が増えることが期待できる。表面筋電図解析についての研究を以下の観点から引き続きすすめていく: 1)小児における表面筋電図解析法であるCI法の各種パラメータ(電極配置、解析のための適切なwindow幅の設定、皮下組織の影響など)についての最適化 2)対象における表面筋電図検査およびCI法を用いた解析 3)小児神経筋疾患の鑑別診断における感度・特異度の評価および正常値の確立
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)検査および統計解析に必要な消耗品(電極、ペースト類、メディア類)およびその他の消耗品(論文別刷りなど)の購入 2)共同研究施設での検査記録(患児における電極位置など)のための機材(デジタルカメラなど)および同施設におけるデータ管理・解析のためのコンピュータの購入 3)成果発表のための国内学会出席のための旅費、国際学会出席のための外国旅費 4)謝金として、英文校正謝礼、正常被検者への謝礼 5)各種学会の参加費、論文投稿料
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Research Products
(10 results)