2012 Fiscal Year Research-status Report
生物発光を利用した重症筋無力症関連自己抗体の包括的測定法の確立
Project/Area Number |
24790904
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nagasaki Kawatana Medical Center |
Principal Investigator |
白石 裕一 独立行政法人国立病院機構長崎川棚医療センター(臨床研究部), その他部局等, その他 (40423644)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アセチルコリン受容体 |
Research Abstract |
重症筋無力症(MG)は自己抗体がその発症の引き金を引くと目される自己免疫疾患の一つであり,その自己抗体の検査結果はMGの診断と診療において重要な位置を占める.全身型MGのおよそ8割強の患者,さらに,眼筋型MGのおよそ半数の患者の血清中には抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体が認められ,抗AChR抗体型MGとも称される.当該研究代表者の白石は,これまでに,抗筋特異的受容体型チロシンキナーゼ(MuSK)抗体型MGの分子病態についての研究に携わってきた. 「従来,抗AChR抗体の検出にはradioimmunoprecipitation assay (RIA)法が汎用されてきた.最近では,RIA法の検出感度を上回るcell-based assay (CBA)が注目されている.しかしながら,RIA法の場合は放射性同位元素を使用するため,検査担当者にとっては身体的・心理的負担が大きい.一方,CBAの場合は,検査結果の定量性という点で困難さを包含している.このような状況において,我々は,従来法とは異なる新しい抗AChR抗体検査法の開発を計画した.その検査原理には,当院の樋口らが開発したカイアシルシフェラーゼ免疫沈降法(GLIP法)を採用する.GLIP 法は上述したRIA法やCBA法の問題点を解決する可能性があり,本研究は抗AChR抗体検査技術の更なる向上につながるものと期待している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,カイアシルシフェラーゼ免疫沈降法(GLIP法)を原理とした新しい抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体検出法の開発に着手した.GLIP法では,抗体の標的となる抗原分子の全長とカイアシルシフェラーゼ(分泌シグナルを除く)を融合させた「リポーター」の作製が必要である。そこで,まず,ヒト筋肉型ニコチン性AChRを構成する5つのサブユニット(α1, β1,γ,ε,δ)に関するヒトcDNAクローンのクローニングを行った.次に,それぞれのヒトAChRサブユニットcDNAとカイアシルシフェラーゼ(GL)cDNAを制限酵素部位により連結(アミノ末端側に各サブユニットcDNAを,カルボキシル末端側にGL cDNAを配置)し,各AChRサブユニットに関するリポーターの作製を行った.さらに,作製したリポーターcDNAを哺乳動物細胞遺伝子発現ベクター(pcDNA3.1)に組込んだ.こうして完成した5種類のAChRサブユニット特異的リポーター発現ベクターをヒト細胞株・293Fに遺伝子導入し,その発現を生化学的に確認するとともに,GL活性の確認も行った.このリポーター作の完成が確認されたことで,抗AChR抗体のGLIPを実施する準備が整った.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,各AChRサブユニットに対する既製抗体を入手し,各リポーターを使用したGLIPを実施し,GLIP法が成立することを確認する.この確認が済次第,実際のMG患者血清を対象としたGLIPを実施し,従来法と比較した上で,その検出感度や特異性などの詳細な検討を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
MG血清を保存・管理するためのフリーザーを購入予定である.
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