2012 Fiscal Year Research-status Report
膵β細胞におけるインスリンシグナルのエピジェネティクス制御に関する検討
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24790925
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
橋本 尚子 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40559845)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 2型糖尿病 |
Research Abstract |
我々はこれまでに飢餓ストレスマウス独自に構築し、出生時の膵β細胞量減少とその後の急速な細胞量増大(catch-up growth)、高齢期に再び細胞量が減少することを見出している。予備検討からCatch-up growthにはインスリンシグナルの亢進が関与しているというデータを得ているが、そのメカニズムは不明である。そこでエピジェネティクス修飾を介してインスリンシグナル関連分子の発現が調節されているという仮説を構築し、本研究計画を開始した。 本研究ではこれまでに、①低出生体重マウスの1週齢における膵島単離を確立し、対照群と比較したインスリンシグナルの評価(転写・活性化など)を行った。その結果、低出生体重マウスの膵島ではインスリンシグナルが亢進していることが明らかとなった。また、②前述の膵島においてインスリンシグナル上流に存在するIRS2の発現がmRNAレベルで亢進していることを見出した。③マウス膵β細胞株であるMIN6細胞を飢餓状態にすることによってインスリンシグナルの変化を検討したところ、in vivoの系同様にIRS2の発現亢進と、それに伴うインスリンシグナル亢進が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度においては、交付申請書に記載した当初の実験計画をほぼ遂行し、有意なデータを得るに至った。これまでの実験結果からは、我々の仮説を実証しているものと思われ、順調に進展していると言える。ただし分子メカニズムの解析としてエピジェネティクス修飾の解析までには至っておらず、「当初の計画以上に進展している」とは言えない。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り、平成25年度は飢餓ストレス条件下における膵β細胞のインスリンシグナル調節メカニズムに関する検討を行う。具体的には、低出生体重マウスの膵島を単離し、エピジェネティクス修飾の解析を行う予定である。単離膵島からDNA、およびクロマチンを抽出し、それぞれDNAメチル化解析やヒストン修飾解析を行う。またエピジェネティクス修飾酵素であるDNMTやHDAC阻害剤を飢餓ストレスMIN6細胞や低出生体重マウスに負荷することによって、MIN6細胞や膵β細胞のエピジェネティクス修飾および細胞増殖機構に変化があるかを検討する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度と同様に、各種bufferなどを作製するために必要な一般試薬や、エピジェネティクス修飾解析や発現解析に用いるための分子生物学試薬を購入する。特に平成25年度はエピジェネティクス修飾の解析を多く計画しており、ChIPアッセイやDNAメチル解析に用いる試薬類の購入が増えると予想される。またその他に、平成24年度同様動物の飼育管理費なども必要と考えている。さらに平成25年末にはヨーロッパ糖尿病学会において成果発表を行う予定であり、その旅費として使用する予定である。また平成25年度中には英文の専門誌に論文を投稿する予定であり、そのための校閲費、および研究成果投稿費として使用することを計画している。
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