2012 Fiscal Year Research-status Report
PSGL-1を標的としたメタボリックシンドロームの新規治療薬の開発
Project/Area Number |
24790927
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
堀口 千景(佐藤千景) 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (40535192)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | メタボリックシンドローム / PSGL-1 / 接着分子 / 肥満 / 内臓脂肪 / フコイダン |
Research Abstract |
予定実験1)2 型糖尿病モデルマウスに対する抗PSGL-1 モノクローナル抗体の投与実験を実施した結果、抗PSGL-1抗体投与群では対照群と比較し、体重、内臓脂肪重量、脂質代謝データに有意差を認めなかったが、空腹時血糖値の有意な低下を認めた。また、腹腔内ブドウ糖負荷試験において、抗PSGL-1抗体投与群では対照群に比べて血糖値、IRIともに有意な低下を認め、腹腔内インスリン負荷試験の結果でも、抗PSGL-1抗体投与群では対照群に比べて血糖値の有意な低下を認めた。以上より体重が変わらないにも関わらず、抗PSGL-1抗体投与による有意なインスリン抵抗性の改善を認めた。 さらに、精巣周囲白色脂肪組織におけるmRNA発現の検討では、マクロファージマーカーであるCD68や炎症に関連するMCP-1、接着分子であるPSGL-1、P-selectinのmRNA発現の有意な低下を認めた。精巣周囲白色脂肪細胞の面積の検討では、抗PSGL-1抗体投与群において脂肪細胞のサイズが有意に小さいことが分かった。 以上の結果から、抗PSGL-1抗体投与により、内臓脂肪組織細胞の肥大化が抑制され、内臓脂肪組織局所での炎症が改善した結果、インスリン抵抗性が改善したと考えられた。 次に、予定実験2)2型糖尿病モデルマウスに対するムチン型硫酸化多糖の投与実験については、現在フコイダンを用いてマウスに皮下注射投与を行い、実験が進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度の予定実験1)は予定通り終了したが、予定実験2)2型糖尿病モデルマウスに対するムチン型硫酸化多糖(Fucoidan、ヒアルロン酸、スルファチド)の投与実験については、投与量や投与期間、投与方法の予備実験に時間を要したため、予定よりやや実験が遅れている。 しかし、前年度から行っていた他実験「早期糖尿病性腎症におけるテルミサルタンの抗酸化作用の検討」の実験が、今年度追加実験も終了し論文が掲載されたため、次年度は本実験に研究時間を集中できると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度のマウス投与実験に用いたムチン型硫酸化多糖化合物であるフコイダンを分子量により大分子、中分子、小分子に分離精製する(以上は、神戸天然物化学(株)に委託する)。 In vitro において、刺激した血管内皮細胞と単球細胞に各分子量に分離精製したフコイダンを投与し、細胞接着阻害効果について検討する。最も細胞接着阻害効果の高い分子量のフコイダンを2 型糖尿病モデルマウス(db/db マウスおよび高脂肪食負荷BL6 マウス)に経口投与し、対象(非硫酸化多糖投与)群と比較して腹腔内投与ブドウ糖負荷試験、インスリン負荷試験にてインスリン抵抗性の変化を検討する。 また、内臓脂肪組織を採取し、組織学的にマクロファージや脂肪細胞のサイズの変化を検討する。内臓脂肪組織よりRNA を抽出し、F4/80, MCP-1, TNF-α, IL6, iNOS などの炎症関連遺伝子や, PSGL-1, P-selectin, ICAM-1 などの接着分子のmRNA の変化を検討する。また肝臓組織における中性脂肪含量や組織学的変化を検討し、内臓脂肪組織と同様に炎症関連遺伝子のmRNA 発現の変化についても検討する。 さらに、当大学研究施設にあるIVISR SPECTRUM(Xenogen)と小動物用CT を用いて、経口投与した薬剤が、内臓脂肪組織へ吸収、分散しているか確認を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(6 results)