2013 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素による膵β細胞転写因子HNF4αの発現制御機構の解明
Project/Area Number |
24790932
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
佐藤 叔史 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (90622598)
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Keywords | 低酸素 / 転写因子 / 糖尿病 |
Research Abstract |
<目的>転写因子HNF4αは、膵β細胞からのインスリン分泌に必須の分子である。低酸素によりHNF4α遺伝子の発現が低下するが、その分子メカニズムを明らかにすることが本研究の課題である。平成25年度は、低酸素によって活性化されるAMPKシグナル経路に着目し、in vitro、in vivoにおいてこのシグナル経路が、HNF4α蛋白調節機構にどのように寄与しているかを検討した。 <研究実績> 平成24年度の検討より、AMPK活性化剤によるAMPKの活性化は、ユビキチン・プロテアソーム経路を介したHNF4αの蛋白分解を促進し、発現が低下することが分かっていた。平成25年度の検討では、低酸素によってもHNF4αの蛋白分解が促進され発現が低下することを確認し、低酸素下でのAMPK活性化がHNF4αの蛋白発現を規定していると考えられた。またAMPK阻害剤(Compound C)およびCAMKII阻害剤(STO-609)の共添加処理により低酸素によるHNF4αの蛋白分解は著明に減弱したことから低酸素は複数の経路を介してAMPKを活性化し、HNF4αの発現を低下させていると考えられた。現在マウスに対して、AMPK活性化剤メトフォルミンを持続的に投与し、in vivoでのHNF4αの蛋白発現についても検討を進めているが、まだ条件の最適化を行っている段階であり有力なデータは得られていない。今後、マウスを低酸素環境に暴露するなどの検討も含め研究を進めていく予定である。研究期間全体を通して、当初の研究計画とは異なるアプローチになったが、低酸素がHNF4αの発現を低下させるメカニズムの一端を明らかにすることができた。このような分子メカニズムを考慮した薬剤選択、および創薬が期待される。
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