2013 Fiscal Year Research-status Report
2型糖尿病感受性遺伝子SLC30A8の糖尿病発症機序の解明
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24790933
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
田蒔 基行 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (60624400)
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Keywords | 膵β細胞 / インスリン / 亜鉛 / 亜鉛トランスポーター |
Research Abstract |
2013年度の進捗状況について記す。 本年度もわれわれはSlc30a8の欠損がマウスにおいて、インスリンクリアランスを調節して、糖代謝に重要な役割を果たしていることを示してきた。 これまでわれわれはSlc30a8は膵β細胞に発現しており、このノックアウトマウスでは、①膵からのインスリン分泌が約2倍に亢進すること、②膵からのインスリン分泌が亢進しているにもかかわらず肝でのインスリンクリアランスが亢進しているため、末梢血中のインスリン濃度は上昇しないことを解明してきた。 2013年度は詳細なメカニズムを検討するために肝細胞由来のセルラインHepG2を用いて、亜鉛が肝細胞でのクラスリン依存性の受容体とりこみを低下させ、その結果、肝でのインスリンクリアランスを低下させていることを示した。 今年度はヒトにおいてもGWASによって2型糖尿病の疾患感受性遺伝子として同定されているSLC30A8のリスクアリル(R325W変異)がインスリンクリアランスに影響を与えていることを示した。 これらの知見を得たために2013年10月にJournal of Clinical Investigationに論文報告を行った(Tamaki M. J Clin Invest. 2013;123(10):4513–4524. doi:10.1172/JCI68807.)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ノックアウトマウスの解析を通じて、亜鉛トランスポーターの異常がインスリンクリアランスを調節するという、新たな説を学術誌に投稿することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
海外チームの最新の論文報告によると、SLC30A8がフレームシフト変異などにより欠損しているレアバリアントを有するヒトにおいては、糖尿病発症リスクが約1/2以下に低下する(Nature Genetics. published online 2 March 2014. doi:10.1038/ng.2915)。これはSNPによるR325W変異が糖尿病発症リスクを約1.2倍上昇させるという、従来の知見と大きく異なる。 われわれはSlc30a8欠損マウスの30週未満の短期的な表現型しか評価できていない。長期飼育や高脂肪食負荷などによって、このマウスがどのような表現型を示すかを今後は検討し、ヒトにおける欠損型のレアバリアントがなぜ糖尿病発症リスクを低下させているのかについてのメカニズムを解明する。
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Research Products
(1 results)