2013 Fiscal Year Research-status Report
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24790941
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
坂田 一郎 埼玉大学, 理工学研究科, 講師 (80610831)
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Keywords | グレリン分泌 / 視床下部 / 交感神経 / GPR120 |
Research Abstract |
本年度は、絶食誘導性グレリン分泌に関与する視床下部神経核の同定を目的にマウスを用いて視床下部弓状核(ARC)、室傍核(PVH)及び腹内側核(VMH)の神経核の片側破壊実験を行った。これらのマウスの絶食後の血中グレリン濃度を測定した結果、ARC破壊群、PVH破壊群及びVMH破壊群のいずれにおいても、コントロールマウスと同様に、絶食誘導性グレリン分泌上昇が見られ、神経核破壊の影響が観察されなかった。 一方、グレリン産生細胞株(SG-1)を用いてG-protein coupled receptor 120 (GPR120)によるグレリン分泌抑制メカニズムの検討を行った結果、グレリンmRNA発現量とグレリンアシル化酵素(GOAT)mRNA発現量はGPR120アゴニストのGW9508処理によって変化しなかった。prohormone convertase 1(PC1)mRNA発現レベルはGW9508処理で減少したが、prohormone convertase 2(PC2)mRNA発現レベルはGW9508処理で増加した。さらに、GPR120アゴニストの前処理は、ノルアドレナリン誘導性グレリン分泌刺激作用を有意に抑制した。加えて、グレリン分泌におけるGPR120の細胞内シグナル経路について各種阻害剤を用いて検討した結果、GPR120によるグレリン分泌抑制はERK/MAPK経路を介して作用することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に引き続き平成25年度は、グレリン分泌を刺激する神経が交感神経の起始核の同定を目的に、視床下部弓状核と室傍核の神経核領域への電気刺激による神経核の破壊実験を行った。その結果、視床下部の交感神経核はグレリン分泌制御に関与しないことが示唆されたが、本研究では片側の破壊により検討したため、現在は、交感神経系を薬剤で刺激する検討を進めている。また、平成24年度に明らかにしたGタンパク質共役型受容体のひとつであるGPR120によるグレリン分泌抑制効果について、より詳細な検討を行い、グレリン分泌におけるGPR120シグナル経路を明らかにした。これらの結果は、論文としてまとめ、専門誌であるThe American Journal of Physiology - Endocrinology and Metabolism 誌に受理された。以上のことから、グレリン分泌に関与する起始核の同定は多少の遅れはあるものの、概ね順調に進捗していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は昨年度に引き続きグレリン分泌に関与する視床下部起始核を同定するために、交感神経系を刺激する薬剤である2-デオキシ-D-グルコース(2-DG)やウロコルチンの脳室内投与を行い、グレリン分泌に与える影響を検討する。同定後は、免疫組織化学的手法を用いて、その神経核に存在するニューロンを同定する。さらに、胃において、グレリン細胞へ投射するニューロンを免疫組織化学的手法により形態学的に同定する。また、グレリン細胞株を用いた実験では、グレリン細胞に発現する他のGPCRに着目して、リガンド刺激またはsiRNAによるノックアウト実験を行い、新たなグレリン分泌刺激因子を探索する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予算計画よりも安く済んだため。 本年度に物品費として使用する予定である。
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[Journal Article] Seven transmembrane G protein-coupled receptor repertoire of gastric ghrelin cells.2013
Author(s)
Engelstoft MS, Park WM, Sakata I, Kristensen LV, Husted AS, Osborne-Lawrence S, Piper PK, Walker AK, Pedersen MH, Nohr MK, Pan J, Sinz CJ, Carrington PE, Akiyama TE, Jones RM, Tang C, Ahmed K, Offermanns S, Egerod KL, Zigman JM, Schwartz TW.
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Journal Title
Mol Metab
Volume: 4
Pages: 376-392
DOI
Peer Reviewed
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