2014 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト下垂体腺腫におけるErbB受容体ファミリー機能の解明
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24790945
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
福岡 秀規 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (80622068)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 内分泌学 / 分子標的薬 / 腫瘍学 / 細胞周期 / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在までに86名のクッシング病患者からの検体を用いた実験を行った。 EGFRの発現を認める腫瘍ではEGFRのチロシンキナーゼ活性阻害薬(TKI)であるゲフィチニブによりACTHの前駆蛋白であるPOMC発現は抑制されたが、EGFR発現を認めない腫瘍において耐性を示した。一方ゲフィチニブ耐性腫瘍に対してErbB1-4すべてに対するTKIであるカネルチニブ処理をしたところPOMC抑制効果を認めた。この効果はErbB4発現の多い腫瘍に強い傾向がありErbB4受容体がPOMC発現に関連している事が示唆された。 次にErbB4受容体の下流シグナルが、今までPOMCの上流として報告されているサイクリンEと関連しているかを調べるためサイクリンE阻害剤であるロスコビチン、ErbB4のリガンドであるNeuregulin 1, Neuregulin 4を用い検討を行い現在解析中である。 以上の結果は2014年日本内分泌学会、2014年日本間脳下垂体腫瘍学会、2014年全米内分泌学会で報告し、現在論文を作成中である。 一般的に診断や治療に難渋することの多いクッシング病に対して、現在薬物療法は日本でもステロイド合成阻害薬であるメチラポンが近年保険承認され、さらにソマトスタチン作動薬であるSOM230、ステロイド合成阻害薬であるLCI699、グルココルチコイド受容体阻害薬であるミフェプリストンが欧米で承認、本邦で一部治験中であるが、まだまだ確立していないのが現状である。本結果によりクッシング病の治療としてErbB4がACTH分泌抑制における分子標的となりうる可能性があり、今後の臨床応用に向けてさらに検討を進めていく予定である。
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