2012 Fiscal Year Research-status Report
Evi1関連白血病における血小板系シグナルの機能解析
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24790961
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大河内 直子 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00568412)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | Evi1 / CD41 / cMpl |
Research Abstract |
我々はEvi1高発現白血病モデルマウスを作製することに成功し、このEvi1関連白血病モデルでは、必ずCD41(integrin αIIb)陽性分画が出現することを発見した。CD41陽性分画の細胞をsortingしてギムザ染色してみると、blastであることも確認した。CD41はEvi1白血病の病態となんらかの関係があると考えられる。CD41は、血小板や巨核球のマーカーとして利用されているが、造血発生期では幹細胞マーカーであることが知られている。本研究では、Evi1による白血病発症にインテグリンのシグナル経路が重要な役割を果たしているのかどうかを明らかにすることを目的とした。 CD41陽性分画にEvi1白血病幹細胞は存在するのかを確かめるために、CD41陽性・陰性分画の移植をおこなった。その結果、CD41陽性分画のほうが早期に白血病を発症することが判明した。CD41がEvi1白血病の治療標的になりうるかどうかを確かめるために、Evi1高発現白血病に対する抗CD41抗体の治療効果を確かめた。in vitroでCD41抗体およびコントロールIgG抗体を反応させたEvi1白血病細胞をそれぞれマウスに移植したところ、興味深いことに、CD41抗体群でキメリズムは上昇した。shRNAでCD41をノックダウンして移植したが、scrambleとの差は見られなかった。 Evi1関連白血病では血小板系の分子が動くという今回の発見から、Evi1白血病におけるTPO感受性についても調べたところ、TPO投与群でコロニー形成能が高いことが判明した。Evi1白血病細胞ではcMplの発現が高いことも判明した。しかし、ヒト白血病細胞におけるEvi1とcMplの発現に相関は認められなかった。現在はshRNAでEvi1白血病のcMplをノックダウンして二次移植を行い、白血病発症が遅延するかどうかを観察中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度の研究計画のうち、(1)CD41陽性・陰性分画の二次移植、(2)抗CD41抗体による治療効果、(3)ヒトEVI1白血病でのcMpl発現解析、(5)Evi1白血病細胞のTPO感受性をcolony assay系を用いて調べる。の4つについては実施して、結果を得た。 また、25年度計画のうち、(6) Evi1白血病細胞においてCD41の発現をshRNAで阻害し、マウスに二次移植する実験については、24年度に実施し、CD41の発現抑制ではEvi1による白血病発症を抑制できないことを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度の計画は、(7)CD41の下流シグナルの阻害剤を用いて、Evi1白血病が抑制できるかどうかをin vivoで確かめる。Evi1白血病細胞を二次移植した後、レシピエントマウスに阻害剤を投与する。インテグリンから細胞内に伝達されるシグナル経路はチロシンキナーゼ型の増殖因子レセプターから細胞内に伝達されるシグナル経路と類似しており、両者が共同して細胞の機能制御を行っていることが推定されている。実際、インテグリンを介する細胞外マトリックスへの接着がRas-MAPK経路やPI3K-Akt経路、細胞内アクチン骨格を制御するRhoファミリーの低分子量GTPaseを活性化することなどが知られている。本研究では、PI3K阻害剤、Srk阻害剤、ERK阻害剤などを試してみる。(8)FibronectinとCD41の結合がEvi1白血病細胞に及ぼす作用を調べる。fibronectinをコーティングしたプレートでEvi1白血病細胞を刺激した場合と、無刺激の場合で、その後の増殖が促進されるか、あるいは静止期への誘導が起こるか、などをFACS, colony assayおよびリキッドカルチャーの系で調べる。(9)浸潤する過程におけるCD41の役割 各種臓器への白血病細胞の浸潤の際に、インテグリンが積極的に働いている可能性について調べるため、CD41陽性・陰性の分画を移植した二次移植マウスモデルで、臓器(肺、肝臓、腎臓など)への浸潤度を病理組織標本を作成して計測する。移植後、3ヶ月目、5カ月目、7ヶ月目、9カ月目に、病理組織を作製する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マウスに投与する薬剤の購入。 コロニーアッセイ用試薬の購入 病理標本作成費 学会参加費・論文投稿費。
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Research Products
(5 results)