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2012 Fiscal Year Research-status Report

急性骨髄性白血病からの人工多能性幹細胞樹立に基づく白血病幹細胞特異的治療法の開発

Research Project

Project/Area Number 24790964
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

吉見 昭秀  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80609016)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2014-03-31
Keywords白血病 / iPS細胞 / 白血病幹細胞
Research Abstract

化学療法抵抗性要因となる白血病幹細胞について、その分子レベルでの機能の解明にはヒト症例の検体に基づいた病態解析が重要であるが、症例ごとに入手可能な白血病幹細胞数は非常に少数であるため、その進展は阻まれていた。本事業では、さまざまなヒト症例白血病細胞をiPS細胞化し、血液系へ分化誘導することで、もとの病態の再現を試みることを第一の目標としている。さらに、得られた血液細胞を免疫不全マウスに移植し、白血病幹細胞活性をもつ細胞集団を同定する。この集団を増幅することにより、従来の技術では困難であったエピゲノム・プロテオーム解析、薬剤感受性試験、白血病幹細胞の病態解析を行い、難治性白血病を克服すべく白血病幹細胞特異的治療法の開発を目指すことが事業全体の目標である。特に白血病細胞のiPS細胞化については本事業のボトルネックになるため、様々な細胞集団を純化した上でのiPS細胞化や、低酸素長期培養、p53のノックダウンなどiPS細胞化を効率化する試み、分化誘導修飾物質の添加、エピジェネティック制御因子の阻害物質の添加などを順に様々な組み合わせで試行している。また、骨髄増殖性腫瘍は比較的造血器腫瘍の中でもiPS細胞化がしやすいことから、同疾患に特徴的であるJAK2V617F変異はiPS細胞化の鍵となる可能性があるため、同変異体をiPS細胞化の際に一過性に発現させる試みも行っている。現時点では本事業の中心としている急性骨髄性白血病からのiPS細胞化は成功していないが、同様の手法を用いて慢性骨髄単球性白血病(CMMoL)からのiPS細胞化に世界で初めて成功した。そこで、CMMoL-iPS細胞を血球に再分化させることにより、各分画を免疫不全マウスに骨髄移植し、どの分画の細胞が白血病の再構築に必要か、どのような細胞表面形質を有する細胞に白血病幹細胞が含まれているかを検討中である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本事業の中心としている急性白血病からのiPS細胞化は、上記の様々な工夫を複数組み合わせることで、現時点までで文書による同意が得られた14例の症例検体を用いて試行を重ねているが、いまだに成功していない。この点に関する進捗遅延の理由としては、元来急性白血病からのiPS細胞化は困難であることがこれまでの試みからわかっており、研究計画調書や交付申請書に記載した通り、もともと本事業は挑戦的な課題であるところが大きい。急性白血病は非常にheterogenousな疾患であることから、今後さらに症例数を増やすと同時にしてiPS細胞化を試みる必要がある。一方で、OCT3/4、SOX2、KLF4、L-MYC、LIN28 、p53-shRNA発現用エピソーマルベクターを用いてElectroporationによるプラスミド導入を行い低酸素培養を用いて2カ月以上の長期培養を行うことにより、慢性骨髄単球性白血病からのiPS細胞化に世界で初めて成功した(1例中1例)。CMMoL-iPS細胞については、未分化マーカーの発現を確認すると同時に、CMMoL細胞にみられる遺伝子変異を探索することによりEZH2やN-RASの体細胞変異を同定し、それらがiPS細胞にも認められることを確認した。現在、CMMoL-iPS細胞を血球に再分化させることにより、どの分画に白血病幹細胞が豊富に含まれるかを検討中である。また、当該のCMMoL患者はDNAメチル化阻害剤(Azacitidine)が奏効したことから、CMMoL-iPS細胞およびCMMoL-iPS細胞から血球に再分化した細胞のそれぞれにAzacitidineを添加し、その前後で起こるDNAメチル化状態の変化、遺伝子発現変化を比較し、Azacitidineが奏効する分子学的メカニズムを解析中である。

Strategy for Future Research Activity

本事業のボトルネックとなる白血病細胞のiPS細胞化については、これまで急性白血病全般に応用可能な工夫を優先的に組み合わせて試行してきたが、現時点でiPS化が成功していないため、今後は白血病発症におけるいわゆる2 hit theoryを前提として1 hitをキャンセル(ノックダウン)する方策や、造血細胞分化のマスターレギュレーターの抑制など、症例に特異的な戦略を織り交ぜて、昨年度から続けている方策(様々な細胞集団を純化した上でのiPS細胞化や、低酸素長期培養p53のノックダウンなどiPS細胞化を効率化する試み、分化誘導修飾物質の添加、エピジェネティック制御因子の阻害物質の添加)ともあわせて、引き続きiPS細胞化を試みる。また、樹立したCMMoL-iPS細胞については上記のように、現在白血病幹細胞がenrichされる分画の細胞表面形質を解析中であり、また、Azacitidineの添加前後のepigenomeの状態変化やtranscriptomeを解析することにより、Azacitidineが奏効する分子学的メカニズムの解明を進める。また、新たにプロテオーム解析や薬物スクリーニング、転写因子のDNA結合領域や複合体構成の変化、白血病幹細胞特異的に活性化しているシグナル伝達経路の同定などに注目して研究を推進する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

白血病細胞からのiPS細胞樹立に関しては、平成24年度と同様に細胞ソーティングのための抗体や感染用ウィルス作成のための試薬代、培養用サイトカインや培養液などに研究費を用いる。また、樹立したiPS細胞を用いた研究としては、iPS細胞から血球に再分化させる際に用いるサイトカインや、免疫不全マウスの購入・飼育費の他、本事業の目的である、iPS細胞から再分化させた白血病幹細胞の各種omics解析用の費用に充てる。研究費の使用計画全体に関しては、研究計画調書に記載した内容から特に大きな変更点はない。

  • Research Products

    (3 results)

All 2013 Other

All Presentation (1 results) Remarks (2 results)

  • [Presentation] 家族性血小板異常症の病態解析2013

    • Author(s)
      吉見昭秀、飯塚浩光、間野博行、荒井俊也 、黒川峰夫
    • Organizer
      造血器腫瘍研究会
    • Place of Presentation
      宮崎
    • Year and Date
      20130201-20130202
  • [Remarks] 血液・腫瘍内科|東京大学医学部附属病院

    • URL

      http://www.u-tokyo-hemat.com/

  • [Remarks] Website_AkihideYoshimi

    • URL

      https://sites.google.com/site/akihideyoshimi/website_akihideyoshimi

URL: 

Published: 2014-07-24  

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