2012 Fiscal Year Research-status Report
ES細胞ホモ変異体ライブラリーを用いた新規血球分化制御因子の検索
Project/Area Number |
24790972
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
徳永 正浩 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (90597410)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 血球分化 / ES細胞 |
Research Abstract |
造血システムは多様な因子により精巧に維持されている。現在までに血球分化に関わる分子は転写因子を中心に多くが明らかにされてきたにも関わらず、依然として未知な領域の解明が待たれる。本研究においてはこれら新規の分子を同定することを第一の目的としている。血球発生に関与する新たな分子を見いだすことは今後iPS細胞からの血球産生など再生医療に応用可能と考えられる。また、血球分化機構の破綻は白血病などの造血器腫瘍を引き起こす。正常造血システムにおける新たな知見は造血器腫瘍の理解に対しても大きく寄与すると考えられる。当研究室は1個の遺伝子が両アレル同時にノックアウトされたマウスESホモ変異体200種類からなるライブラリーを作製している。平成24年度において、このライブラリーに属するES細胞をOP9との共培養系で血液細胞に分化させ、血球への分化障害をきたす変異ES細胞株を同定するスクリーニングを行った。 現在のところある遺伝子(遺伝子X)の変異ES細胞株が、血液・血管内皮の共通の祖先(hemangioblast)までほぼ正常に分化するにもかかわらず、それ以降の分化が進まないことを見いだした。次にこの変異遺伝子の復帰変異体(revertant)を作製したところ、この復帰変異体は野生株と同じく正常に血球に分化し、この遺伝子Xが分化障害の原因であることが確認できた。現在その遺伝子の機能解析を進めている。 さらにはこの遺伝子のin vivoにおける表現型を解析するために、ノックアウトマウスを作製中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では平成24年度までにスクリーニングを行い、本研究の第一の目的である血球分化障害をきたす原因遺伝子を同定する予定であった。現在既に血球分化障害をきたす遺伝子を一つ同定し、復帰変異体が野生株と同様に正常表現型を示すことを確認した。さらにはin vivoにおける表現型を解析する目的で、ノックアウトマウスの作製に取り掛かっている。以上より平成25年度の計画に含まれる実験のうち、いくつかを進行出来たという点で当初の計画以上に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1、in vitroにおける機能解析。目的遺伝子の細胞内における発現部位を免疫染色などにて解析する。さらにはこの分子の他の分子との相互作用を解析する。 2、in vivoにおける表現型解析。現在ノックアウトマウスを作製中である。今後そのマウスの表現型を解析する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を進めて行く上で必要に応じて研究費を執行し、当初の見込額とほぼ同じ金額を使用した(未使用額252円)。研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初の予定通りに計画を進めて行く。平成25年度の使用計画は以下の通りである。 1、in vitroにおける機能解析においては、発現部位や他の分子との相互作用などを解析するために、抗体やその他の蛍光試薬を必要とする。 2、in vivoにおける表現型解析においては、ノックアウトマウス作製のためのES細胞の打ち込みにかかる費用や、表現型を解析するためにマウスの飼育費用などを必要とする。
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Research Products
(1 results)