2012 Fiscal Year Research-status Report
血小板造血および血小板機能シグナルにおけるRUNX1の役割の解明
Project/Area Number |
24790979
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
下田 晴子 宮崎大学, 医学部, 医員 (10452921)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 血小板造血 |
Research Abstract |
家族性血小板減少症/白血病(Familial Platelet Disorder with propensity to develop myeloid malignancy, FPD/MM)は幼少時より血小板減少および血小板機能異常を呈し、高率に急性骨髄性白血病または骨髄異形成症候群を発症する常染色体優性遺伝の家族性疾患である。FPD/MMの原因として正常造血を制御する転写因子RUNX1の異常が同定されている。当研究ではFPD/MMの患者を通して、RUNX1の異常が血小板減少および血小板機能異常をもたらすメカニズムについて明らかにすることを目的にしている。 当研究室において過去にRUNX1の異常(haploinsufficiency)が同定されたFPD/MMの患者(2名)のサンプルを用い、実際にこの患者らにおいてmRNAレベルでRUNX1の発現が低下しているかどうかを定量RT-PCRを行って確認した。患者らでは共通してRUNX1 exon1を含む領域の片アリル欠失が認められるため、プライマーをexon1近傍に設置した。実験結果の判断については検討を重ねている段階である。 また、臨床の場で新たにFPD/MMの患者家系と思われる症例に遭遇したため、患者からインフォームドコンセントを得たうえでサンプリングを行った。患者(1名)のリンパ球由来ゲノムDNAを用いてRUNX1の8つのエクソンについてシークエンス解析を行ったが、遺伝子配列に異常はなかった。念のため、RUNX1以外の造血に関わる転写因子(CEBPA, GATA-1,PU.1など)についてもシークエンス解析を行ったが、異常はないことを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
H24年8月14日より産前産後の休暇および育児休業を取得し、研究を中断しているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
H27年12月より研究再開(予定)し、RUNX1が造血細胞の分化段階に応じてTPO-cMPL経路を制御している可能性(以下1,2)と、RUNX1が血小板凝集を司るGPIIb-IIIa複合体の活性化経路を制御している可能性(以下3)を検討する。 1.セルソーターを用いて、FPD/MMの患者の骨髄細胞を造血幹細胞から巨核球・血小板に分化するまで各分化段階の細胞に分け、それぞれの分化段階での細胞表面cMPL発現量をFACSで比較検討する。また、それぞれの分化段階でのmMPLの転写レベルをRT-PCR法で比較検討する。 2.1と同様に、患者の骨髄細胞を各分化段階に分け、それぞれをTPOで刺激し、TPO-cMPL経路の下流に位置するSTAT5のリン酸化の程度を比較検討する。また、患者の造血幹細胞をTPO依存性コロニー形成能を検討する(コロニーアッセイ)。 3.血小板の遺伝子発現プロファイリングを行い、患者と健常人との間で発現レベルに差異のある遺伝子をスクリーニングし、既報を参考にGPIIb-IIIa活性化経路に関与するような候補を絞る。それらの候補について、血小板から抽出した蛋白でウエスタンブロットを行い、実際に蛋白量が減少しているものを絞り込む。絞り込んだ候補の中からRUNX1の転写標的となっているものを、ルシフェラーゼアッセイなどの実験を行って同定していく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度も引き続き休暇取得中のため、研究費の使用予定はありません。
|