2015 Fiscal Year Research-status Report
血小板造血および血小板機能シグナルにおけるRUNX1の役割の解明
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24790979
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
下田 晴子 宮崎大学, 医学部, 医員 (10452921)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 血小板造血 / 血小板機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
家族性血小板減少症/白血病(Familial Platelet Disorder with propensity to develop myeloid malignancy, FPD/MM)は幼少時より血小板減少および血小板機能異常を呈し、高率に急性骨髄性白血病または骨髄異形性症候群を発症する常染色体優生遺伝の家族性疾患である。FPD/MMの原因として正常造血を制御する転写因子RUNX1の異常が同定されている。当研究ではFPD/MMの患者を通して、RUNX1の異常が血小板減少および血小板機能異常をもたらすメカニズムについて明らかにすることを目的にしている。 当研究室では、臨床の場で今までにFPD/MMと考えられる3家系(A,B,C)を経験した。そのうち家系Aの患者らには、共通してRUNX1のexon1近傍にアリル欠失があることを同定した。よって、家系AについてはRUNX1の片アリル欠失によるhaploinsufficiency が疾患の原因と考えており、実際に家系Aの患者らでmRNAレベルでRUNX1の発現が低下しているかどうかを現在検討中である。家系Bについては、RUNX1の遺伝子配列に異常はなかったため、家系Bも家系Aと同様にRUNX1の量的異常を考えて実験をすすめている。家系Cについては、現在患者検体のサンプリングをすすめている。 この研究は、3つのFPD/MM家系の患者らにおいて、それぞれの家系のRUNX1の異常をそれぞれ同定し、それらサンプルを用いることによって、RUNX1の血小板造血および血小板機能における役割を生体レベルで明らかにできる可能性があることに意義がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
H24年8月14日より産前産後の休暇および育児休業を取得し、研究を中断した。H27年12月1日より研究を再開したが、中断前の実験結果と再開後の実験結果の一致(再現性)の確認等に時間がかかっている。また、本研究課題に関わる新しい知見が多数報告されており、それらの情報収集にも時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
1.研究中断前までに得られた実験結果について、研究を再開した今も同じ実験結果であるかどうか、実験の再現性を確認する。 2.RUNX1が造血細胞の分化段階に応じてTPO-cMPL経路を制御している可能性を検討する。具体的には、セルソーターを用いて家族性血小板減少症患者の骨髄細胞を造血幹細胞から巨核球・血小板に分化するまでの各分化段階の細胞に分け、それぞれの分化段階で以下①②③を比較検討する。①細胞表面cMPL発現量(FACS)②mMPLの転写レベル(RT-PCR)③TPO刺激によるSTAT5のリン酸化の程度 3.RUNX1が血小板凝集を司るGPⅡb-Ⅲa複合体の活性化経路を制御している可能性を検討する。具体的には、血小板の遺伝子発現プロファイリングを行い、患者と健常人との間で発現レベルに差異のある遺伝子をスクリーニングし、既報を参考にGPⅡb-Ⅲa活性化経路に関与するような候補を絞る。それらの候補について、血小板から抽出した蛋白でウエスタンブロットを行い、実際に蛋白量が減少しているものを絞り込む。絞り込んだ候補の中からRUNX1の転写標的となっているものを、ルシフェラーゼアッセイなどの実験を行なって同定していく。
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Causes of Carryover |
産前産後の休暇又は育児休業による研究中断後、H27年12月1日より研究を再開したが、当該年度内に新たに購入が必要な物品はなかったため。また、学会発表等の研究成果報告も当該年度内には行わなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定している実験に必要な物品の購入および学会発表や論文作成等の研究成果報告に使用する計画である。
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