2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24790985
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
江口 良二 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (00461088)
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Keywords | 血管内皮障害 / 血管内皮細胞 / 細胞死 / アポトーシス / FK506 / ERK1/2 / Akt / カスパーゼ |
Research Abstract |
組換え型トロンボモジュリン(recombinant human soluble thrombomodulin, rTM:製剤名リコモジュリン)は、藩種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation, DIC)に対する製剤として使用されている。近年、rTMにおける造血幹細胞移植後の血管内皮障害の抑制効果が報告されているが、その機序は明らかになっていない。 3次元血管モデルを用いた昨年度までの本研究において、1)FK506は細胞死だけでなく構築された血管構造の崩壊(管腔崩壊)も誘導し、2)その細胞死はカスパーゼを介した古典的なアポトーシスとは独立して誘導され、3)FK506による血管内皮障害は生存因子であるAkt及びERK1/2の活性化を減弱させることにより誘導される、ことを明らかにしてきた。 平成25年度ではFK506による血管内皮障害に対するrTMの抑制効果の解析を行った。その結果、1)rTMはFK506による管腔崩壊を抑制できないものの細胞死には抑制効果を示し、2)FK506による細胞死に対するrTMの抑制効果はFK506によるAkt活性化の減弱をキャンセルさせることによりもたらされることが明らかとなった。これらの結果は、臨床におけるFK506による血管内皮障害に対するrTMの抑制効果の基礎的なエビデンスであり、効果的な製剤がない血管内皮障害に対する予防薬として期待されることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究に関して平成25年度の学会で報告した全ての内容を論文投稿し、一部はすでに出版され、一部は最近受理された。これらの受理された論文内容は若手研究Bに申請した際の平成25年度以降の研究計画の大半が遂行された結果である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度ではFK506による血管内皮障害の総括を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度では、主に実験に必要な試薬・消耗品・機器及び平成24年度末に受理された投稿論文の英文校正代及び別刷り代に研究費を使用した。当初予定していた実験量よりも少ない研究費でさらなる研究結果が論文として受理されたが、この論文における別刷り代は平成25年度内で支払うことが出来なかったため、論文別刷り代を次年度使用額の経費として計上する必要がある。また、平成25年度以降の研究計画の内、遂行が完了していない実験を次年度に行う必要がある。 平成26年度の研究費はまだ明らかとなっていない本研究の課題実験に使用する予定である。加えて、平成25年度末に受理された論文の別刷り代が一部経費として計上される予定である。また、申請者が所属する兵庫医科大学には共同利用研究施設が存在し、本研究において最も必要な機器であるコールターカウンター(自動細胞計数装置)が設置されているが、近年の当該施設の利用者増のため、それを次年度には購入し、申請者が所属する研究施設に設置する予定である。
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