2013 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性サイトカインとしてのレプチンの作用機序に関する研究
Project/Area Number |
24791008
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
楠 夏子 東邦大学, 医学部, 博士研究員 (10328924)
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Keywords | リウマチ学 / 炎症 / 関節リウマチ / レプチン / IL-6 / 滑膜線維芽細胞 |
Research Abstract |
レプチンはエネルギー代謝を調節する生理活性物質として知られているが、炎症を増悪させる作用を持つことも示唆されている。そこで今回我々は、炎症性サイトカインとしてのレプチンの作用について、関節リウマチ(rheumatoid arthritis: RA)患者由来滑膜線維芽細胞(RA synovial fibroblasts: RSF)を用いて検討することとした。 異なる濃度のレプチンの存在下でRSFを培養すると、レプチンの濃度に依存して、代表的な炎症性サイトカインであるinterleukin(IL)-1βおよびIL-6のmRNA発現に増加が認められた。この細胞培養上清中のIL-6タンパク産生の亢進も認められたが、IL-1βタンパク産生の増加は認められなかった。さらに、RSFにレプチン受容体が発現していることを確認し、RNA干渉の手法を用いてレプチン受容体発現を抑制した細胞では、レプチンによるIL-6産生増加作用が阻害されることを見いだした。 レプチン受容体下流には、JAK2によるSTAT3リン酸化を介した情報伝達経路が存在することが示されている。そこでTRSFにおいて、レプチンがSTAT3をリン酸化するか否かを検討したところ、レプチンによるSTAT3リン酸化亢進作用が認められた。また、JAK2阻害剤の前処置によって、RSFにおけるレプチン誘導IL-6産生亢進作用が抑制された。これらのことから、レプチンはRSFにおいて、JAK2-STAT3経路を介してIL-6産生亢進作用を呈することが示唆された。 今回の研究で得られた結果は、レプチンがRAの炎症を増悪させる炎症性サイトカインとして作用を有することを示すものである。レプチンがRAの主たる病変部位である滑膜組織において、直接炎症増悪作用を示すことを認めたことから、レプチンを標的とした新たなRAの治療戦略の一助となる情報を得たと考えている。
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