2012 Fiscal Year Research-status Report
関節リウマチの骨破壊に対するS1P/S1P1シグナルの役割
Project/Area Number |
24791014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
北野 将康 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (00412031)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 関節リウマチ / スフィンゴシン1リン酸 |
Research Abstract |
本研究は関節リウマチの骨破壊に対するスフィンゴシン1リン酸(S1P)とその受容体であるS1P1シグナルの役割を明らかにすることである。申請者はこれまでに関節リウマチ病態でのS1P/S1P1シグナルの役割について解析を行い、S1P/S1P1シグナルが関節リウマチ滑膜細胞での細胞増殖とシクロオキシゲナーゼ(COX)-2誘導を介したプロスタグランジン(PG)E2産生を促進すること、さらに関節リウマチ滑膜細胞株を用いた検討ではS1P/S1P1シグナルが滑膜細胞でのreceptor activator of NF-KB ligand(RANKL)発現を増強することを明らかにしている。これらの結果よりS1P/S1P1シグナルは関節リウマチ滑膜組織での滑膜増殖・PGE2産生亢進を介した慢性炎症と血管新生さらにRANKL発現亢進による局所での破骨細胞新生を介した骨破壊に促進的に作用しているものと考えられる。関節リウマチでの骨破壊機序に対する更なる検討として、本研究では骨芽細胞株(C2C12)とヒト末梢血CD4陽性T細胞に対するS1Pの効果について解析した。S1Pは濃度依存性にC2C12細胞でのALP活性を上昇させ、さらにosteocalcinの産生を促進した。またヒト末梢血CD4陽性T細胞に対してはRANKL発現を亢進させることを明らかにした。すなわちS1Pには骨芽細胞機能の促進と滑膜細胞とCD4陽性T細胞でのRANKL発現の上昇による破骨細胞分化誘導を促進させる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
骨芽細胞株を用いた実験系の確立に時間を要したため
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Strategy for Future Research Activity |
(1)破骨細胞の分化誘導と活性化に対するS1P/S1P1シグナルの効果:RANKL刺激で破骨細胞への分化能を有する細胞株であるRAW264.7細胞を使用する。①RAW264.7細胞でのS1P1とRANK 発現を解析する。②RAW264.7細胞でのRANK発現に対するS1Pの効果を検討する。③RAW264.7細胞をRANKL単独、S1P単独、もしくはRANKL+S1Pで刺激し、破骨細胞への分化効率を解析する。④S1PによるRAW264.7細胞でのRANK遺伝子発現と、破骨細胞への分化誘導に及ぼす効果がPTXの前処置により抑制可能か否か評価する。⑤RAW264.7細胞にFTY720を添加培養し②③と同様の検討を行い比較する。 (2)FTY720のCIAマウスに対する関節炎抑制効果の検討 ①CIAマウスをFTY720投与群と非投与群に分け、投与群にはFTY720を0.5mg/kg/日, 1mg/kg/日で連日投与し、関節炎の予防効果をpaw volumeとarthritis scoreで検討する(関節炎発症の予防効果)②アジュバントで感作後、30日目(関節炎の極期)よりFTY720を0.5mg/kg/日, 1mg/kg/日で連日投与し、関節炎の治療効果をpaw volumeとarthritis scoreで検討する。(関節炎に対する治療効果)以上の解析結果より関節リウマチでの骨破壊におけるS1P/S1P1シグナルの意義を明らかにしたいと考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の推進方策にそって研究を遂行予定であり、研究費は種々の機材や消耗品等の購入に使用する。
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