2012 Fiscal Year Research-status Report
インフルエンザウイルス感染後の肺粘膜面自然免疫恒常性維持におけるNKT細胞の意義
Project/Area Number |
24791030
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
石川 裕樹 東京医科大学, 医学部, 助教 (60433918)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | インフルエンザウイルス / 細菌二次感染 / 自然免疫 |
Research Abstract |
インフルエンザウイルス感染に伴う感染防御能低下状態での細菌二次感染は宿主病態重症化のリスク因子として重要である。そこで本研究ではインフルエンザウイルス感染後の細菌二次感染防御能低下のメカニズム解明とNKT細胞に注目した二次感染防御能維持機構を究明することを目的とする。 本年度研究成果は以下である。Balb/cマウスにおいてインフルエンザウイルス非感染群およびウイルス感染群(A/PR/8/34株)に緑膿菌(S10株)を肺に二次感染させ緑膿菌のクリアランスを測定した結果、緑膿菌感染後6時間後、24時間後においてウイルス非感染群ではウイルス感染群と比較し、バクテリア数が約10~50分の1に減少しておりウイルス感染群ではバクテリアクリアランス能の減弱が認められた。またNKT細胞を欠損するCD1dK.O.マウスで同様の実験を行ったところ、ウイルス感染群では有意なバクテリアクリアランスの減弱が認められたが、それはBalb/cマウスと比較してウイルス非感染群、特に感染群でバクテリアクリアランス能が顕著に減弱していた。 このインフルエンザウイルス感染による細菌二次感染防御能低下のメカニズムとして肺粘膜面で恒常的に産生されているサーファクタント(SP-D)に注目しウェスタンブロットにより産生量の解析を行った。その結果、ウイルス非感染時の正常状態ではBalb/cマウス、CD1dK.O.マウスで産生量に相違は認められなかったが、ウイルス感染後CD1dK.O.マウスでは一過性に産生量が顕著に低下していた。そこで結果の信憑性を得るため新しく販売されたマウスSP-D ELISAキット(ヤマサ)で測定を行ったところ、ウェスタンブロットで得られて結果が再現性をもって否定され、SP-Dの顕著な減少は認められなかった。現在、細菌感染に対する貪食細胞の働きに注目し解析を始めたところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
インフルエンザウイルス感染後の細菌二次感染防御能低下のメカニズムとして注目していた肺中でのサーファクタント産生量低下の可能性はウェスタンブロットより正確性のあるサンドイッチELISA法にて否定された。しかしながら、ウイルス感染後の肺への緑膿菌二次感染防御能低下は再現性が得られている。そこでウイルス感染後の防御能低下のメカニズムを他の自然免疫系に注目し引き続き解明を遂行する。
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Strategy for Future Research Activity |
インフルエンザウイルス感染後、二次的に肺に感染させた緑膿菌の短時間(6および24時間)でのクリアランス能が減弱しているため、自然免疫系すなわち肺胞マクロファージおよび好中球の貪食作用または殺菌作用に注目し研究を進めていく。具体的にはウイルス感染による二次感染防御能低下が生体側の貪食細胞の機能すなわち遊走能または活性化の減弱に由来するのか、または細菌側のオプソニン効果が十分されていないのに起因するのか基礎的な実験で確認をおこなう。また、自然免疫系の感染防御能維持に必要な因子が同定された場合、その因子を指標として感染防御能低下持続時間の検討を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主にはマウスの購入費または維持費として使用する予定である。その他試薬、消耗品も必要に応じて購入する予定である。また設備備品費の購入予定はない。
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Research Products
(6 results)