2012 Fiscal Year Research-status Report
けいれん性疾患におけるSCN1A遺伝子非翻訳領域の網羅的変異解析
Project/Area Number |
24791039
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中山 東城 東北大学, 大学病院, 助教 (40613302)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | てんかん / Dravet症候群 / 遺伝学的解析 / SCN1A |
Research Abstract |
1. SCN1A関連性けいれん性疾患症例の収集 SCN1A関連性けいれん性疾患として、中核群であるDravet症候群に加え、全般てんかん熱性けいれんプラス (GEFS+)、小児急性脳症、および有熱時けいれん誘発性を持つ難治性てんかんを対象とし症例の収集を行った。当初は当研究施設と関連病院を対象に症例の収集を行う予定であったが、該当症例の収集を終了した時点で予定していた症例数が収集できない可能性が出てきたことから、福岡大学小児科の廣瀬伸一教授の協力を仰ぎ、これを了承していただいた。これにより福岡大学小児科でこれまでに収集されている症例に対して本研究の実施が可能となり、これまでにSCN1A翻訳領域の変異解析で変異が同定されていない症例の約110例に対して以下の非翻訳領域解析を施行した。 2.MLPA法によるSCN1A非翻訳領域の微少欠失・重複解析 SCN1A遺伝子前後の非翻訳領域をターゲットとしたプローブを作成し、収集した症例に対しMLPA法による非翻訳領域の微少欠失・重複解析を行った。ターゲット領域は過去に我々が報告したプロモーター活性を有するSCN1A5プライム領域に加えて、エクソン間や3プライム領域の公開されているSCN1Aメチル化領域をすべて対象としたものとし、新たなカスタムプローブを作成した。本プローブセットによりコントロールサンプルで再現性のあるデータが得られるよう条件設定を行った。福岡大学小児科のサンプルを中心にこれまでの約110例に対する解析を現在行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
けいれん性疾患の病因となり得る、必要かつ最小のSCN1A転写制御領域を明らかにする今回の研究における最重要課題は、十分な数の解析対象症例の確保である。申請者は福岡大学小児科の廣瀬伸一教授の協力の下、初年度に当初予定していた解析数の80例を上回る110症例以上の解析を行うことができており、計画を上回るペースで実験・研究を行うことができている。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)(2) 症例の収集およびMLPA法によるSCN1A非翻訳領域の微少欠失・重複解析 収集した症例に対してMLPA法による非翻訳領域の微少欠失・重複解析を引き続き行う。次年度も研究協力を了承いただいた福岡大学小児科の収集検体を中心にMLPA解析を施行する。欠失・重複を認めた症例に対しては変異領域長を決定するため、アレイCGHを施行する。 (3) SCN1A非翻訳領域変異と疾患重症度との関連性の検討 変異同定症例については、重症度を臨床経過と発作頻度、抗てんかん薬の種類、および精神運動発達の面から評価する。これまで報告されているSCN1A翻訳領域変異を持つ症例と比較しながら、SCN1A非翻訳領域変異と疾患重症度との関連性を検討する。 (4) 疾患変異領域に基づく遺伝子発現解析によるSCN1A転写制御領域の特定 SCN1A非翻訳領域の欠失・重複変異症例で共通する変異領域を同定する。共通変異領域内で、申請者らの先行研究で同定されている非翻訳エクソン、ヒト・マウス間で保存されている塩基配列領域を踏まえて転写制御領域を検討する。推定された転写制御領域に対し、ルシフェラーゼ2重アッセイなどの実験的な発現解析を行い、SCN1A転写発現に必要かつ最小の転写制御領域を明らかにする。ルシフェラーゼ発現解析については、申請者が先行研究を行っていた理化学研究所神経遺伝研究チームの協力の元に実験を施行することを検討している。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究のMLPA解析は当初予定していた解析数を大幅に上回る可能性が出てきたことから、次年度もMLPA解析試薬を必要量追加購入する。アレイCGH解析のチップについても次年度に購入を予定している。 次年度は発現解析を中心に研究を進める予定であることから、転写制御領域の特定のため、ルシフェラーゼアッセイなどの発現解析自体に必要な経費のほか、発現ベクターの作成、発現細胞の調整などのための実験器具・キット購入を予定している。なお、次年度は研究を遂行するため、必要に応じ研究助手を期間限定雇用する可能性がある。 症例の収集や研究協力施設での研究が次年度も必要である。内外の研究者との意見交換、さらには本研究の成果発表のため、さらに関連学会や研究会に出席することを予定しているため、該当旅費を研究費より支出する予定である。 次年度使用額は今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成25年度請求額を合わせ、平成25年度に計画している共同研究先との当該研究の推進と上記の研究遂行に使用する予定である。
|