2012 Fiscal Year Research-status Report
心房内臓錯位症候群の網羅的遺伝性解析~先天性心疾患の遺伝的成因の解明
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24791043
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
犬塚 亮 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (00597560)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 網羅的遺伝子解析 / 次世代シークエンサー / 先天性心疾患 / 内臓錯位症候群 |
Research Abstract |
従来、先天性心疾患は遺伝的因子と環境的因子の相互作用により生じると漠然と理解されてきていたが、分子遺伝学および疫学の発達により、遺伝的因子についての詳細なメカニズムが明らかになりつつある。例えば家族性に多発する心房中隔欠損症の家系の遺伝解析から、いくつかの遺伝子の関与が明らかになった。心房内臓錯位症候群は、臓器の左右軸の異常により生じ、心奇形を伴うことが多く先天性心疾患の約3%を占める。左右軸の決定は心臓発生の重要な初期過程であり、その異常は単心室などの重症心奇形につながり、外科技術が進歩した今日でも、予後不良である。まれに家族内集積の報告があるものの、ほとんどの症例が孤発例であり遺伝の関与する例はまれと考えられていたが、これまでに、心房内臓錯位症候群のモデル動物において、左右軸の決定に関わる必須遺伝子が80以上見つかっており、遺伝子の関与が明らかになってきた。また、デンマークにおける大規模な疫学調査の結果、心房内臓錯位症候群が近親にいる場合、先天性心疾患発症のリスクは通常の80 倍と高くなることが判明し、実際に人においても遺伝的要因が強く関与していることが示唆され、詳細な発症メカニズムの解明が待たれている。本研究では心房内臓錯位症候群の関連遺伝子の検索を行う。当院では、先天性心疾患の網羅的遺伝子検索に関する倫理委員会の申請を行い、検体収集を開始した。既に一部の検体について、エクソーム解析を開始している。候補遺伝子標的遺伝子の候補として同定された遺伝子群ないし変異型遺伝子に関して、今後機能解析を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
検体の収集が、予定通りに進んでいないため。
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Strategy for Future Research Activity |
東京女子医科大学循環器小児科との共同研究を開始し、検体収集を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
既に一部の検体については、解析を開始しているが、残りの検体についてエクソーム解析を中心に解析を進める。
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