2012 Fiscal Year Research-status Report
L―アスパラギナーゼによる薬剤性急性膵炎に対する新規試験管内疾患モデルの開発
Project/Area Number |
24791051
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
舩戸 道徳 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (30420350)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 |
Research Abstract |
本研究は、L-アスパラギナーゼによる薬剤性急性膵炎の発症要因の解明および発症予測法の確立を目指し、その基盤研究として薬剤性膵炎の既往を有する患者iPS細胞由来の膵外分泌細胞を用いて薬剤性急性膵炎の試験管内疾患モデルの構築を行う。 1)L-アスパラギナーゼによる薬剤性急性膵炎の既往を有する患者からの疾患特異的iPS細胞樹立/これまでに患者1例からiPS細胞を樹立し、導入リプログラミング遺伝子のサイレンシング、未分化マーカーの発現解析、核型解析、STR解析、テラトーマ形成、胚様体形成の評価が終了した。 2)ヒト幹細胞から高効率に膵外分泌細胞を作製する分化誘導法の開発/京都大学iPS細胞研究所が所有する化合物ライブラリーおよびそのスクリーニング設備を用いて、ヒトiPS細胞由来の膵臓前駆細胞(PDX1陽性細胞)から膵外分泌細胞(AMY陽性細胞)を選択的に分化誘導する低分子化合物を見いだすことに成功した。見いだした低分子化合物は1μMの2日間処理で最大の効果を示した。また、Indolactam Vと併用することで約50-60%の効率で膵外分泌細胞を誘導可能であることも見出した。この新規かつ高効率の膵外分泌細胞の分化誘導法を用いて作製した膵外分泌細胞は免疫染色や定量PCRにより膵外分泌細胞系譜のマーカーを発現した。最後に、患者疾患特異的iPS細胞を用いても膵外分泌細胞が作製可能であった。 これらの成果は、試験管内で容易に薬剤性急性膵炎の発症要因を解析するアッセイ系を可能にした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画では、研究期間内に以下のことを明らかにしようと計画した。 1)L-アスパラギナーゼによる薬剤性急性膵炎の既往を有する患者から樹立したiPS細胞株の評価を行い、疾患モデル作製に最適な細胞株を明らかにする。2)高速スクリーニングにて見いだした膵臓前駆細胞から膵外分泌細胞を誘導する低分子化合物の評価(最適な濃度や日数等)を行い、膵外分泌細胞の新規分化誘導法を開発する。3)樹立中のAMYLASE遺伝子座にGFPを導入したレポーターヒトiPS細胞株を完成させ、本研究で開発する新規分化誘導法で作製された膵外分泌細胞の単離による詳細な機能解析を可能にする。4)作製された膵外分泌細胞の生理機能を調べる為に、膵外分泌細胞系譜の遺伝子や蛋白の発現、アミラーゼや蛋白分解酵素(エラスターゼ1、トリプシンなど)分泌の測定等を行う。5)分化誘導した患者iPS細胞由来の膵外分泌細胞にL-アスパラギナーゼを添加し、薬剤性急性膵炎の試験管内疾患モデルを構築する。6)構築した薬剤性急性膵炎の試験管内疾患モデルを用いて、L-アスパラギナーゼによる薬剤性急性膵炎の発症要因の解明および発症予測法の確立に向けた基盤研究を開始する。 このうち、1)と2)については終了し、3)と4)については進行中の状態である。以上から、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、以下の3点について重点的に研究をすすめる。 1)AMYLASE遺伝子座にGFPを導入したレポーターヒトiPS細胞株の構築/今後、AMYLASE遺伝子座にGFPを導入したレポーターヒトiPS細胞株を用いて分化誘導した膵外分泌細胞を単離し、作製された膵外分泌細胞(AMY陽性細胞)の生理機能(蛋白分解酵素(エラスターゼ1、トリプシンなど)分泌の測定等)をさらに詳細に検討する。 2)患者iPS細胞由来の膵外分泌細胞を用いた急性膵炎の試験管内疾患モデルの構築/完成した分化誘導法により作製した患者iPS細胞由来の膵外分泌細胞に、0.016-10μg/mLの濃度のL-アスパラギナーゼを添加し、アミラーゼや蛋白分解酵素(エラスターゼ1、トリプシンなど)の測定、ELISA法での各サイトカインの測定、MTTアッセイ法による死細胞の測定等を行い、試験管内で急性膵炎の病態を模倣する実験系を構築する。 3)L-アスパラギナーゼによる薬剤性急性膵炎の発症要因の解明に向けた基盤研究の開始/患者由来iPS細胞と比較対照として京都大学で樹立された健常人由来iPS細胞とを用いた急性膵炎の試験内疾患モデルを検討し、L-アスパラギナーゼによる薬剤性急性膵炎の発症要因を解明する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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