2012 Fiscal Year Research-status Report
肺高血圧血管病変形成におけるエピジェネティクス制御
Project/Area Number |
24791057
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
淀谷 典子 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (40525367)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 肺高血圧 |
Research Abstract |
本年度は、最近開発されたヒト類似の病変を呈する、ラット肺高血圧モデルを作成から着手した。血管内皮増殖因子受容体阻害剤Sugen5416(20mg/kg)を皮下投与し、続いて低気圧性低酸素(1/2気圧、10%酸素相当)に3週間暴露した。その後正常酸素に戻し、実験的肺高血圧の評価、組織学的評価を行った。心エコーを用いて心拍出量や左心機能、肺高血圧の評価を行い、その後、圧モニター下でカテーテルを留置し、右室圧と大動脈圧を測定した。血行動態評価後、心肺組織を摘出し組織評価を行った。組織評価は、Elastic Van Gieson法による染色で血管閉塞程度や血管内腔の細胞性増殖程度を評価した。また、細胞腫の同定として、vWF、αSMA、ED-1抗体を用いて行った。これらの検討から、既報と同様の、Plexiform lesionや、内膜肥厚を伴う病炎形成が確認され、さらに、病変部位での増殖細胞の特徴についての知見を得た。また、病変部位から平滑筋培養を試み、各レベルの血管からαSMA陽性細胞の培養法を確立した。エピジェネティクス機序による細胞の形質転換について、ヒト肺高血圧における性ホルモンの影響に着目し、本モデルを用い、エストロゲン投与下での、肺高血圧病変形成について、初期結果を得た。今後、エストロゲンの病変形成機序における役割について、投与時期、投与期間を検討し、さらに、培養細胞を用いて細胞機能への影響を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規のラット肺高血圧モデルの作成法と病変形成が確認され、病変の評価法を確立できた。免疫染色により病変での増殖細胞の特徴について、知見を得た。また、肺高血圧モデルから採取した肺動脈の平滑筋の培養が可能となった。さらに、エストロゲンの影響を検討するため考案した、エストロゲン投与モデルに関しても、投与方法、条件について初期のデータが得られ、研究の遂行可能性が示されつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の新規のラット肺高血圧モデルの作成法と病変形成、病変での増殖細胞の特徴に関する知見に基づいて、性ホルモンの関与に着目して、エストロゲン投与モデルを用いて、肺高血圧、肺血管病変の検討を行う。さらに、培養細胞を用いて、エストロゲンの作用機序について、エピジェネティクス機序の細胞機能への関与を検討してゆく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ラットの購入、維持、動物モデルのための実験試薬、心臓カテーテルのためのカテーテル、チューブ、細胞培養のためのプラスチック容器、培養液などの消耗品の購入。各種抗体、細胞培養用試薬、培養液、siRNAとランスフェクション試薬、PCR試薬などの購入。研究成果の学会、論文発表のための費用。
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