2013 Fiscal Year Annual Research Report
筋ジストロフィー患者の予後改善を目的とした新規治療方針の開発
Project/Area Number |
24791059
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
馬場 志郎 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60432382)
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Keywords | Duchenne型筋ジストロフィー / iPS細胞 / 心筋症 / カルシウム代謝 |
Research Abstract |
臨床的にジストロフィン遺伝子エクソン44の欠失を確認されたDuchenne型 筋ジストロフィー(DMD)患者と欠失を認めない両親から皮膚線維芽細胞から作成したiPS細胞を用いてDirect Differentiation法(Jianhua Zhang(Circ Res, 2011)らが開発)によって心で心筋分化を行った。その心筋をFluoro8を用いた細胞内カルシウム代謝を定性的に測定したところ、コントロールiPS由来心筋細胞に比べて明らかに静止状態の心筋でDMD-iPS由来心筋細胞で細胞内カルシウム濃度が高く、収縮時の細胞内カルシウム濃度上昇も高かった。indo-1を用いて定量的に細胞内カルシウム濃度を測定すると、同様の結果が得られた。DMD-iPS由来心筋細胞が常に高い細胞内カルシウムにさらされているため、心筋負荷時は更に細胞内高濃度カルシウムによって心筋ダメージを受ける可能性があると考え、DMD-iPS由来心筋細胞に120%の伸展負荷をかけた。その結果、明らかにDMD-iPS由来心筋で細胞内カルシウム濃度が上昇した。逆に、コントロールiPS由来心筋細胞では細胞内カルシウム濃度の上昇は軽度であった。以上より、DMD-iPS由来心筋細胞は明らかに定常状態、負荷状態ともに細胞内カルシウム負荷がかかっており、心不全に至りやすいと考えられた。次にDMDモデルマウスであるmdxマウス心筋にも同様の現象が起きている報告をもとに、心エコーで左心室の機能測定を行った。結果、mdxマウスはコントロールマウスに比べて左心サイズ、左心機能に明らかな差はなかったが、麻酔投与による負荷をかけたところ、有為に左室拡張末期径が拡大し、左室駆出率が低下した。カルシウム代謝をターゲットにした薬剤でこれらを抑制できるか現在検討中である。
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