2012 Fiscal Year Research-status Report
白血病髄外浸潤におけるROCKの機能解析と新規標的戦略
Project/Area Number |
24791064
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
大西 千恵 島根大学, 医学部, 医科医員 (30598115)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 白血病髄外浸潤 |
Research Abstract |
ITD-Flt3変異によって引き起こされるSDF1に対する過剰な細胞遊走におけるRho-associated coiled-coil containing protein kinase (Rock)の関与を検証するため、ITD-Flt3陽性AML患者に由来するITD-Flt3変異を導入したBa/F3細胞を用いて実験を行った。無刺激時、ITD-Flt3+細胞はITD-Flt3陰性細胞と比較し、RockのmRNA発現が亢進していた。また、ITD-Flt3陰性細胞へのFlt3リガンド(FL)の添加は、Rock発現を用量依存的に増加させた。このことは、恒常的なFlt3シグナル伝達をもたらすITD-Flt3変異がRock発現を亢進させる事象を支持するものである。ITD-Flt3陰性細胞ではSDF1刺激によりRock発現が低下したが、ITD-Flt3+細胞ではRockの高発現が持続していた。ITD-Flt3+細胞におけるRockの機能的亢進を検証するため、Rockの基質であるMYPT1のリン酸化レベルについてWB法を用いて検討した。ITD-Flt3陰性細胞ではMYPT1のリン酸化はSDF1刺激後4時間で減少するのに対し、ITD-Flt3+細胞では4時間以降もMYPT1のリン酸化レベルは維持されていた。Rock阻害剤(Y27632、 H1152)およびshRNAによるRockのノックダウンによって、ITD-Flt3+細胞のSDF1に対する過剰遊走は有意に抑制された。 以上より、ITD-Flt3変異によるSDF1への過剰な細胞遊走はRockの発現亢進によるものと示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでのところ、研究実施計画での仮説に一致して、Rockの発現がITD-Flt3+細胞の過剰な遊走に関わっている実験結果が得られている。今後、白血病髄外浸潤におけるRockの関与を検証するための移植実験を進めていくに値する実験結果と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
造血細胞遊走異常に関して造詣が深い島根大学小児科学の福田誠司准教授とインディアナ大学小児科学のRuben Kapur准教授からの助言を賜りながら、白血病髄外浸潤におけるのRockの関与を検証するためのマウス移植実験を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Rock cDNAをインディアナ大学小児科学のRuben Kapur准教授から提供を受けることができたため、平成24年度未使用額(163,168円)が生じた。 マウス購入費、飼育費:53万円。 分子生物学的試薬、サイトカインなど消耗品:33万円。 学会参加(アメリカ血液学会、日本血液学会)旅費:30万円。
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