2012 Fiscal Year Research-status Report
川崎病類似冠動脈炎モデルマウスを用いた川崎病罹患後の動脈硬化のメカニズム解析
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24791071
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 珠美 九州大学, 大学病院, 学術研究員 (60423547)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 川崎病 / 動脈硬化 / 自然免疫 |
Research Abstract |
1.川崎病類似冠動脈炎モデルの動脈硬化の進展について 5週齢のApoEノックアウトマウス(ヒト動脈硬化類似マウスモデル)に対して、1週間Nod1リガンドを内服させることで、川崎病類似冠動脈炎を引き起こさせ、その後の自然経過を評価した。冠動脈炎は速やかに軽快するものの、動脈硬化病変は無投与群ではほとんど認めないのに対し、9週時点で動脈硬化巣の拡大を有意に認めた。 2.動脈硬化の進展におけるNod1リガンドの関連の解明 さらに、5週齢のApoEノックアウトマウスに対して、Nod1リガンドを入れた飲水ボトルを用いて、様々な濃度でNod1リガンドを自然に内服させたところ、同様に動脈硬化の促進を認めた。しかし、飲水量がその実験の時期やマウスの状態に影響し、Nod1リガンド内服量が一定しなくなったため、Nod1入り水の飲水による実験は不適切であった。以上から、今後の実験としては、1の実験同様に、口腔内に一定の間隔でNod1リガンドを内服させる実験系を用いて、解析を行うこととした。 3.本モデルにおける動脈硬化の進展に関する遺伝子群の検索 早期の動脈硬化巣のマイクロアレイ検索を行ったところ、CCR5などが高発現していた。さらに、病変部の定量PCRでも同様の結果が得られており、それらのケモカイン・サイトカインが病巣進展に大きく関わっている可能性が示唆された。一方で、免疫染色による評価は難しく、現在さらなる追加実験を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Nod1リガンド濃度を様々に設定して、飲水ボトルからNod1リガンド投与を計画していたが、Nod1リガンド投与量が一定しなかった。しかし、速やかに計画を変更し、内服量とその投与回数・間隔を新たに設定したため、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、動脈硬化巣のサイトカイン・ケモカインの関連性について、マイクロアレイ解析や血清学的評価、サイトカイン・ケモカイン抑制実験を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.本モデルにおける動脈硬化の進展に関する遺伝子群の検索 平成24 年度に引き続き病態に関連するサイトカイン・ケモカインなどの因子を検索する。 2.Nod1 ノックアウトによる粥状硬化の進展への影響 ApoE ノックアウトマウスとApoE & Nod1 ダブルノックアウトマウスの自然経過を比較する。自然免疫が動脈硬化に促進に関わっているとすれば、Nod1 ノックアウトにより動脈硬化病変の進展が軽減されることが予想される。評価方法は前述の病理学的評価法を用いる。 5.Nod1 関連粥状硬化病変における骨髄由来細胞の関与の検討(マウス骨髄移植モデル) 病態解明および治療のターゲットを絞るため、ApoE ノックアウトマウスとApoE & Nod1 ダブルノックアウトマウスを用いたマウス骨髄移植モデルにより、骨髄由来細胞と非骨髄由来細胞の寄与について評価する。評価方法は前述の病理学的評価法を用いる。
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