2014 Fiscal Year Annual Research Report
mTORとオートファジーを制御することによる新しい結節性硬化症治療の確立
Project/Area Number |
24791074
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
宮原 弘明 大分大学, 医学部, 講師 (00457615)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 結節性硬化症 / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は結節性硬化症の中枢神経病変で細胞内リサイクル機構であるオートファジーの機能が低下していることを見出した。本研究では、結節性硬化症におけるmTORシグナル伝達とオートファジーの関連を明らかにし、オートファジーの制御による新しい結節性硬化症の根本治療の確立を目指した。具体的な研究項目は、①緑色蛍光蛋白を用いたリアルタイムのオートファジー観察、②オートファジー関連蛋白・遺伝子の解析、③オートファジー制御による結節性硬化症病変の治療効果の検討、の3つとした。結節性硬化症患者および正常対照の皮膚より確立した線維芽細胞を用いてEBSS培地による飢餓負荷を行い、オートファジーの誘導を試みた。正常対照の線維芽細胞では1-2時間でオートファジー活性化を示唆するLC3-Ⅱのバンドが出現したが、結節性硬化症の線維芽細胞ではオートファジーが誘導されなかった。p62はオートファジーの誘導に伴い減少する蛋白であるが、p62は正常対照と結節性硬化症の両方で減少傾向を示した。その理由としてp62蛋白にオートファジー以外の役割があること示唆された。研究対象としてオートファジーを扱う上で、線維芽細胞の取り扱い、適切な飢餓負荷、蛋白の抽出方法に創意工夫を必要とし、その確立に多くの時間を要した。そのため緑色傾向蛋白を用いたオートファジー観察と治療実験は期間内に十分な成果を得ることができなかった。結節性硬化症におけるmTOR阻害剤の有効性は認知されつつあるが、病態機序の解明とより理論的な治療の開発に向け、今後も当研究を継続していく予定である。
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