2012 Fiscal Year Annual Research Report
神経芽腫がん幹細胞の幹細胞特性維持と分化障害の分子機構解明
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24791080
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
柳生 茂希 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (10572547)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 神経芽腫 / がん幹細胞 / BMI1 / NOTCH |
Research Abstract |
神経芽腫細胞中に存在し、化学療法抵抗性や難治性に強くかかわる、がん幹細胞を治療標的とするためには神経芽腫がん幹細胞の幹細胞特性の維持機構や分化障害機構の解明が急務である、我々は、神経芽腫細胞に高発現し、神経幹細胞の幹細胞特性維持に密接にかかわるBMI1遺伝子と、経芽腫細胞で活性化され、神経幹細胞の分化に密接にかかわるNOTCH経路の機能解析を行うことで、神経芽腫がん幹細胞を治療標的とした新規治療法解明のための分子標的を探索することを本研究の目的とした。 NB細胞株をもちいたEMI1遺伝子の発現解析では、M3細胞株は一様にBMI遺伝子の高発現が認められた。また、NOTCH経路関連遺伝子であるASCL1、HES1も同様に高発現していた。NB細胞株であるKP-N-RTEM1、SH-SY5Y細胞株に対し、AIRA1μMで分化誘導を行ったところ、AIRA投与開始2時間後より、ASCL1の、6時間後ごろよりphox2bの著しい発現抑制が見られたのち、神経突起を延長させ分化が誘導された。また、分化に伴いBMI1遺伝子の発現低下が観察された。 さらに、同細胞株にNotch阻害剤であるγセクレターゼ(GSI)を投与したところ、HES1遺伝子の発現抑制、ASCL1遺伝子の発現抑制と、神経突起の伸長と分化誘導が認められた。このときは、BMI1遺伝子の発現抑制は認められなかった。 NBの分化障害におけるNotch経路の関連を詳細に分析するため、Notch遺伝子の細胞内ドメイン(NICD)を強制発現させ、Notch経路を恒常的に活性化させたNBクローンの作成を試みた。NICDをクローニングし、レンチウイルスベクターに導入した。また、レンチウイルス発現システムによるNB細胞株へのNICD強制発現株を作成した。NICD強制発現NB細胞株を用いて、細胞増殖能、ATRAによる分化誘導効率、GSIによる分化誘導効率の観察を行った。 さらに、BMI1shRNAをレンチウイルスベクターにクローニングすることに成功した。さらに、これを神経芽腫細胞株に発現させ、90%程度の遺伝子発現抑制効果を確認した。現在、これらの細胞株を用いて、細胞増殖能、ATRAによる分化誘導効率、GSIによる分化誘導効率の観察を行った。 現在、以上の結果の再確認、B臨床検体を用いたBM1遺伝子、N0TCH関連遺伝子の発現解析を行い、NB細胞の分化障害におけるBMI1遺伝子の関与について考察を行なっている。この機序をさらに解明することにより、神経芽腫幹細飽が分化誘導されずに幹細胞特性を維持している機構を明らかにでき、今後新たな分化誘導療法に対するアプローチを与えることが可能になると期待される。
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Research Products
(3 results)