2013 Fiscal Year Research-status Report
メサンギウムIgA受容体に着目した小児IgA腎症発症メカニズムの解明
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24791082
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
島 友子 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (60433364)
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Keywords | IgA腎症 / IgA受容体 / Fcα受容体 / Fcα/μ受容体 |
Research Abstract |
IgA腎症は,小児,成人において最も頻度の高い慢性糸球体腎炎であり,腎不全の主要原因である.分子形態に異常のあるIgAが腎メサンギウムに沈着することによって惹起される炎症が疾患の本体と考えられるが,その炎症進展機序については不明な点が多い。 私達は,重症小児IgA腎症において,治療により腎メサンギウムのIgAが消失し,かつ消失例は非消失例に比べ腎予後が良いことを明らかにし,IgA沈着を規定する因子と炎症進展との関係が重要であることを示した。 そこで,小児IgA腎症におけるIgA沈着・消失に関与する因子の一つであると考えられるIgA受容体(FcαR,ASGR,Fcα/μR,トランスフェリン受容体)の発現とメサンギウム増殖の程度との関係を初年度から引き続いて小児IgA腎症患者から得られた腎生検検体を用いて検討した。IgA受容体関連遺伝子の発現をreal-time PCRで検討した結果,前年度とは異なりメサンギウム増殖とFcα受容体遺伝子発現に有意な正の相関を認めたが、Fcα/μ受容体、トランスフェリン受容体の遺伝子発現とは正の相関、ASGRとは負の相関があったが有意差はなかった。 更に治療前後のIgA受容体の発現の差とメサンギウム増殖の程度の差との関係を腎生検検体を用いて検討したが、各受容体遺伝子発現の差とメサンギウム増殖の改善程度との間に有意な相関を認めなかった。また治療後IgA沈着消失群と非消失群の間での各受容体遺伝子発現の程度を比較検討したが、遺伝子発現の程度の差を認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
小児IgA腎症患者から得られた腎生研組織におけるIgA受容体の発現の解析については初年度に引き続き、mRNAの発現の有無,発現量,糸球体病変の解析およびその相関を更に検討し,FcαRについての有意な発現とメサンギウム増殖との正の相関を確認し ている。 また治療後の検討を行ったが、各IgA受容体発現とメサンギウム増殖との有意な相関を同定できていないため,症例数を増やしての検討が必要であることや,実験IgA腎症モデル動物であるddYマウスにおける検討が進んでいないことからやや遅れていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に行った,小児IgA腎症患者から得られた腎生検組織における,IgA受容体(FcαR,ASGR,Fcα/μR,トランスフェリン受容体)蛋白の発現の有無,同受容体mRNAの発現の有無,及び定量,糸球体病変の解析と受容体発現との相関について,さらに症例数を増やして検討を行い,IgA沈着における真のIgA受容体の役割を更に明確にする。 ヒト検体でのIgA受容体の役割がはっりした際には、動物モデルを使用しての解析に着手していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ヒト検体でのIgA受容体の役割がはっりした際には、動物モデルを使用しての解析に着手していく予定であり、動物モデル使用のための使用額が進んでいないのが次年度使用額が生じた理由である。 IgA受容体の役割を明確にし、動物モデル使用に着手する。
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[Presentation] Crescentic IgA Nephropathy in children2013
Author(s)
Shima Y, Nakanishi K, Hama T, Mukaiyama H, Togawa H, Sato M, Nozu K, Tanaka R, Iijima K, Yoshikawa N
Organizer
American Society of Nephrology
Place of Presentation
Atlanta, USA
Year and Date
20131105-20131110
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