2013 Fiscal Year Research-status Report
ランゲルハンス細胞組織球症の発症とトル様受容体経路の多型性の関連
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24791084
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
早瀬 朋美 自治医科大学, 医学部, 助教 (50433587)
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Keywords | ランゲルハンス細胞組織球症 / Toll様受容体 |
Research Abstract |
ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)は、未熟樹状細胞の性質を持つLCH細胞が異常に増殖し、組織破壊を起こす疾患である。LCH細胞の増殖機序として、BRAF遺伝子変異が報告され腫瘍性増殖の説が唱えられたが、感染症などによる反応性増殖の説もあり、未だ不明な点が多い。LCHの病変部位には、LCH細胞のほかTリンパ球や好酸球、マクロファージ、破骨細胞様巨細胞など、さまざまな炎症細胞が浸潤している。LCH患者血清では、IL-12やIL-18、IL-8、CCL2、CXCL1、CXCL9などの炎症性サイトカイン・ケモカインの異常高値が認められ、病変部位に浸潤しているこれら炎症細胞の相互刺激によりサイトカイン/ケモカインストームが形成されると考えられる。LCH細胞は未熟樹状細胞の性質を持つため、樹状細胞に発現し病原体を認識するToll様受容体(Toll-like receptor:TLR)が発現し、この炎症性サイトカイン/ケモカインストーム形成に重要な働きをしていると推定される。平成24年度はLCH病変におけるTLRの発現について解析し、LCH細胞ではTLR1,2,6,7,8の発現絶対量が増加し病態形成に関与している可能性が考えられた。 この免疫染色の結果を基にTLRの多型性解析を行う予定であったが、次世代シークエンサーを用いたタンパク質をコードする全エクソンの解析(エクソーム解析)のほうが、より多くの網羅的な情報が得られると考え、LCH細胞および正常細胞の両者についてエクソーム解析を行うこととした。LCH細胞はホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)ブロックからCD1a免疫染色陽性細胞をレーザーマイクロダイセクションにより採取することとし、レーザーマイクロダイセクションに最適な免疫染色を検討した。また、正常細胞として、患者の末梢血検体を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度中にエクソーム解析を行う方針としたため、生検組織および末梢血検体の収集を行ったが、まだ解析には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
収集したLCH病変のパラフィンブロックからLCH細胞をレーザーマイクロダイセクションにより採取し、DNAを抽出する。末梢血検体からもDNAの抽出を行い両者のエクソーム解析を行う。エクソーム解析結果で判明した変異について機能解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度中にエクソーム解析を行う方針としたため、生検組織および末梢血検体の収集を行ったが、まだ解析には至っておらず、次年度使用額が生じた。 レーザーマイクロダイセクション用ファイル付スライド(\30,000)、抗S100ウサギポリクローナル抗体(\70,000)、微量サンプル用DNA抽出キット(\100,000)、DNA増幅キット(\130,000)、DNA調整キット(\100,000)、エタノール/キシレン(\50,000)、液体窒素/CO2(\100,000)の購入費 タカラバイオ株式会社でのエクソーム解析委託(\1500,000)、日本小児血液がん学会参加費(\15,000)、旅費(\75,000)、外国語論文校閲(\40,000)、論文投稿料(\40.000)
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