2013 Fiscal Year Research-status Report
たんぱく質不安定性を呈する新規TSH受容体変異V711fsの機能解析
Project/Area Number |
24791087
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鳴海 覚志 慶應義塾大学, 医学部, 特任助教 (40365317)
|
Keywords | 小児科学 / 遺伝学 / 内分泌学 / 分子生物学 / ホルモン / 受容体 |
Research Abstract |
本研究はたんぱく質不安定化により特徴付けられる新規TSHR変異V711fsのたんぱく質不安定化機構を分子側の要因、細胞側の要因 の 両面から解析することを目的としている。前年度までの研究により、V711fsの異常配列(17残基)のうち特に疎水基の割合が重要であること(分子側の要因)、不安定性の機序としてユビキチン-プロテアソーム系が関与する可能性が高いこと(細胞側の要因)を明らかにしていた。2年目にあたる平成25年度には、下記の知見を得た。 【分子側要因の解析】分子C末端側の疎水基の割合の重要性を示すため、ルシフェラーゼ分子のC末端側に任意のアミノ酸4つをタンデムに連結したコンストラクト20種(V711fs-N4)を作成し、それぞれをHEK293細胞で発現させルシフェラーゼ活性を測定した。すると、予想したとおり、アミノ酸の疎水度と得られる発光に負の相関関係が観察された。すなわち、C末端側が疎水性であればあるほど、たんぱく質不安定性が増すことを明らかにした。 【細胞側要因の解析】予備実験ではプロテアソーム阻害剤MG132がV711fs-TSHRの分解を阻害することを示していた。今年度、より特異性の高いプロテアソーム阻害剤であるLactacystinを用いて同様の実験を行い、やはり分解阻害が起こることを明らかにした。以上から、分解がプロテアソームで行われることは確実となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度には当初計画した予定での研究を遂行することができた。その結果、たんぱく質安定性が、分子C末端側4アミノ酸残基の疎水性の変化という一見微細な変化により、ドラスティックに変化しうることを見いだすことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究当初の目標である、変異TSH受容体V711fsの解析は順調である。平成26年度は、研究知見の臨床応用への範囲を拡大するため、V711fs以外の細胞内C末端テイルのフレームシフト変異体のカタログを作製し、それぞれのたんぱく質がどの程度の不安定性を有するかを検証する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定より安価に入手できた消耗品があったため、繰り越しを生じた。 繰り越した研究費も含め、平成26年度に適正に使用する。
|