2012 Fiscal Year Research-status Report
プロテアソーム阻害剤を用いたポンペ病の新規治療法開発
Project/Area Number |
24791089
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
嶋田 洋太 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (20560824)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 先天代謝異常症 / ポンペ病 / ライソゾーム病 |
Research Abstract |
ポンペ病は酸性α-グルコシダーゼ(GAA)遺伝子の異常により生じる常染色体劣性遺伝病である。近年、ポンペ病の新規治療法として、低分子化合物を用いて変異GAAタンパク質の安定化及び機能回復を行うケミカルシャペロン療法の研究が進められているが、現在同定されている化合物は有効性を示す変異が限定的であることが知られる。その一方で、これまでに我々は、従来の化合物に加えてプロテアソーム阻害剤が一部の変異GAAの機能を改善し得ることを見出していた。そこで本年度は、プロテアソーム阻害剤であるボルテゾミブが有効性を示すGAA変異について探索を行った。ヒトの正常GAA cDNAに対して各種のミスセンス変異を導入した発現ベクターを構築し、一過性にHEK293T細胞に発現させた後にボルテゾミブを投与することで効果の解析を行った。また、遺伝子変異が明らかとなっている患者由来細胞についてもボルテゾミブを投与し同様の解析を行った。その結果、従来のシャペロン化合物が有効な変異に加えて、有効性が認められない一部変異についてもボルテゾミブ投与により酵素活性が改善することが判明した。さらに、活性の上昇が認められた変異では、酵素タンパク質の成熟化やライソゾームへの局在も確認された。これらの結果は、ボルテゾミブは従来の化合物よりも広範なGAA変異に有効性を示す可能性を示唆する。来年度は、ボルテゾミブが有効なGAA変異の探索をさらに進めると共に、有効性が認められた変異を導入したヒト型変異GAAを発現するポンペ病モデルマウスの作成を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度については、ボルテゾミブが有効なGAA変異の探索を進めた。平成24年度内に解析が終了しなかった変異が多少残されてはいるものの、有効な変異を複数同定し、その特徴が明らかとなりつつある。おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の解析よりボルテゾミブ応答性のGAA変異が明らかとなってきているが、24年度中に解析が終了しなかった変異がいくつか残されているため、それらについては平成25年度もボルテゾミブの有効性について解析を進める。その後、平成24年度及び25年度の結果をもとに、顕著な有効性が認められたGAA変異を1つ選定し、その変異を導入したヒト型変異GAAを発現するポンペ病モデルマウスの作成を進める。そして、ヒト型変異GAA発現モデルマウスを対象にボルテゾミブのin vivoにおける有効性について解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究費については、ヒト型変異GAAを発現するポンペ病モデルマウスを作成する予定であるため、その作成に関する費用を中心に使用する。これに加え、平成24年度内にボルテゾミブの有効性解析が終了しなかったGAA変異があるため、それらの解析についても使用していく。
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Research Products
(2 results)