2012 Fiscal Year Research-status Report
HCN2遺伝子異常により発症する熱性けいれんのiPS細胞を用いた病態解明
Project/Area Number |
24791096
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
中村 友紀 福岡大学, 医学部, 助手 (90535072)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | イオンチャネル / 熱性けいれん / 遺伝子 / 小児科学 / 電気生理 |
Research Abstract |
当初の計画では、平成24年度にHCN2変異蛋白の発現分布を観察する目的でHCN2変異体遺伝子を培養細胞、ラット海馬CA1細胞に導入予定であった。まずエレクトロポレーション法にて導入を試みたが予想していた蛋白発現を得ることが出来なかったため、原因の解明同定を試み、予想以上の時間を費やした。現在はウイルスベクターを用いて遺伝子導入を試みている。 上述の実験と平行する形で、以前から実験を進めていたHCN2変異遺伝子のヘテロ発現実験を行った。この実験ではHCN2変異蛋白を発現させた培養細胞を使い、灌流液の温度を熱性けいれん時の体温変化と同様な温度(35度から38度)に設定して実験を行い、野生型、ホモ変異体、ヘテロ変異体と三者を比較し、変化が見られるかを検証した。 この実験の結果、野生型とヘテロを比較した際、活性化電位に有意差は認められなかったが、活性化時の時定数においてヘテロでは野生型と比べ有意に減少していた。この傾向はより生理学的な電位(脱分極電位)付近において顕著であった。また35度から38度の間について温度・コンダクタンスの相関について評価した際、ヘテロでは野生型とは明らかに異なる傾向が示されたため、この変異体は温度による特別な修飾を受けている可能性が示唆された。以上から、今回用いたHCN2変異体はヒトにおいて熱性けいれん発症の原因となる可能性が示唆された。以上の実験結果についてまとめ、現在論文投稿中である。 熱性けいれんは病因に諸説あるが、未だに原因の特定されていない疾患の一つである。そして熱性けいれんとHCN2変異遺伝子の直接的関連を示すデータは現在まで発表されていない。今回の実験は熱性けいれんの病態解明の一助になることが大いに期待されるものであり、このHCN2変異体の実験は非常に意義のあるものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、平成24年度中に(1)培養細胞、ラット海馬CA1細胞への遺伝子導入(2)発現チャネルの評価、の二項目を行う予定であった。 しかし、当該年度にエレクトロポレーション法にて遺伝子導入を試みるも予想していた発現量を得ることが出来なかったため、うまくいかなかった原因の洗い出しを行った。原因の同定のため予想していたよりも多くの時間を費やした。 以上の理由から現在(1)の途中であるので区分は「やや遅れている」を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定では平成24年度中に遺伝子導入と発現チャネルの評価を行う予定であったが、現時点では遺伝子導入の途中の段階である。このため引き続きウルイスベクターによる遺伝子導入を行い、これが成功すれば発現チャネルの評価を引き続き行う。発現チャネルの評価については、パッチクランプによる電気生理学的手法を用いて全細胞電流の測定と活動電位の測定、共焦点顕微鏡によるチャネルの発現分布評価、ウエスタンブロットによる蛋白発現量の比較を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画では平成24年度中に研究費を全額使用する予定であった。しかし平成24年11月半ばごろより以前より使用していた実験機器(約40万円相当)の調子が悪くなり、買い換えの必要性が生じたため平成25年度に購入する予定にするため次年度に繰り越すことにした。また、当初の実験計画よりもやや遅れており、平成25年度に持ち越す実験内容が増えたため平成24年度は想定していた金額よりも少ない支出となった。
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Research Products
(6 results)